
俺のリロードはレボリューションだ
誰もが心に抱える “鹿になりたい欲” を満たしてくれるゲーム、それが今回紹介する「ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator」です。
鹿ライフをシミュレートする鹿シミュレータです。
ゲームって凄いですよね。
だって鹿になれるんだもの。
ゲームと鹿が好きで良かった。
ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulatorとは
2021年にPS4/Switch/Xbox One/Steam(PC)で発売されました。
今回私はPS Storeのフリープレイで遊んだので無料でしたが、定価は2,000円です。
「鹿シミュレータってなんだよ、まーたどっかのイカれた外国人がイカれたゲームを作ったのか(歓喜)」…と思いきや、日本人が一人で開発したそう。やりますねぇ。
2023年時点で「全世界315万人がプレイした」とあります。これが本当なら日本のインディーゲームとしてはトップクラスのヒットですね。
内容はインディーゲームらしく、ゲームとしてのクオリティこそ高くはないものの圧倒的な熱量で笑わせにきます。
ゲームシステム
なんかもうどういうゲームかを説明するだけでネタバレになり本作の魅力を損ないかねないので、今後プレイするつもりの方はここら辺でページを閉じた方が良いかもしれません。

ゲームシステムとしてはごく普通の鹿を操作して街を破壊し尽くす、ごく普通の3Dアクションです。
公式には “スローライフ街破壊ゲーム” を名乗っていますが、スローライフ感は少なく街破壊がメイン。
建造物を壊し車をひっくり返し人を虐殺し “鹿災害レベル” を上げ、現れる警官を撃退する事が主な目的です。

その他、車を強奪して街を爆走したり、乗馬を楽しんだり、牛と一緒にオセロに興じたり、人間を鹿に変化させ服従させたりと、ごく普通の鹿ライフが楽しめます。これがGTAの最新作ですか。




登場人物紹介
あなた
鹿に命を捧げる事も厭わない愛鹿者。
オープニングでキャラメイクするのですが、BGMが壮大すぎて一笑い。
で、設定可能な項目数が異常に多くて二笑い。


鹿

首が伸びる、ごく普通の鹿。
特技はオセロットもビックリのリロード無しで銃を発射し続けるガンアクション。
というかそもそもトリガーすら引いてなかった。おそらく念能力者。もしくはスタンド使い。
剣術にも長けており、ライトセーバーを振り回すフォースも持ち合わせています。
敵の警察たち
立ち上がってトンファーを振り回すひつじ。

パトカーと合体して変形が可能な白くま。

ビームライフルによる狙撃を得意とするウサギ(ロップイヤー)。

他にもかわいらしい警察がいっぱい出てくるよ!
ここが凄いぞ DEEEER Simulator
- 武器を揃えた時の爽快感
- クオリティの高いBGM
- オープニング~エンディングまで怒涛のストーリー展開
武器を揃えた時の爽快感
ハンドガン、手榴弾、マシンガン、アサルトライフル、ロケットランチャー、ビームライフル、レールガン等々、様々な重火器が登場しますが、これらは取捨選択するのではなく全て同時に装備して同時に発射出来ます。

火力が増す事で破壊出来る建物が増えていき爽快感も増すというゲームデザインは、かの名作、塊魂に通じるものがあります。
クオリティの高いBGM
キャラメイク時の壮大なBGMもステキですし、各ボス出現時のBGMもそれぞれカッコよくテンションが上がるものばかり。
中でも一番感動したのがエンディングBGMです。
FFのラスボス戦BGMと言われても違和感が無い、というかむしろFF13のラスボス戦ってこれじゃなかったっけ。
本作はマルチエンディングなのですが、エンディングによってBGMが変わるという無駄な作り込みにも思わずニッコリ。
オープニング~エンディングまで怒涛のストーリー展開
ネタバレのため折り畳みで。むりやりストーリーの考察もしてみます。
クリックで開きます
オープニングで常軌を逸した細かさのキャラメイクが終わると、せっかく作った主人公が開始5秒で鹿を助けて死んでしまいます。



そして死んでしまった主人公は鹿に転生して警官相手に無双するわけですが、最後に登場する警官はなんと「未来の自分」。

激闘を制すとトドメを刺すか選択肢が出現し、これによりエンディングが分岐します。

未来の自分にトドメを刺した場合、自分が何体も埋葬されている事が発覚。
そのまま自分も警察になる事が示唆されます。
おそらく自分もまたいつか過去の自分に殺されてしまうのでしょうね。

そしてエンドロールが流れ…

病院の心電図が停止する絵が。
これは未来の自分を殺した事でオープニングで鹿を助けた「あなた」も死んでしまった事を意味しているのでしょう。
未来の自分にトドメを刺さなかった場合、真のラスボスである「あなた」と対峙する事に。
ここに来てオープニングの振りが活きてくるわけです。

何故「あなた」と戦っているのか。
内面世界に残留する転生前の「あなた」を殺しきって100%鹿になる、という展開なのでしょうか。
なんだか哲学的になってきましたね…

「あなた」の猛攻を捌ききった鹿。
気が付くとそこは病院のベッドの上。
鹿が内面世界の「あなた」に打ち勝ち「あなた」を追い出した事で、「あなた」は「あなた」としての意識を取り戻した、という事か。

回診にやってきた看護師がこちらを見た後、驚いて走り去っていきます。
何が起きたのか。
身体を起こし鏡を覗くと、そこに映っていたものは…

ドキドキ……


THANK YOU FOR PLAYING!じゃないんだよ。
結局どういう事だったのか。
ゲーム中にはセリフやナレーションが一切無いため推測になってしまいますが。
- 愛鹿者の主人公が鹿をかばって車にはねられた
- 一命は取り留めたが意識不明に
- 精神世界で憧れの鹿ライフを満喫
- 鹿のままでいたい主人公の意識がラスボスとして立ちはだかる
- 乗り越えた先でご褒美として鹿っぽさを手に入れた
そうです、実は異世界転生物ではなかったのです。主人公は生きていた。
鹿になりたいという想いと意識を取り戻すべきだという想いのせめぎ合い。
本作はただの鹿シミュレータではなく、「辛い現実があっても今を強く生きろ。そうしたら良い事あるさ」という応援歌であり人間賛歌だったのです。
ところで鹿の首って伸びるのでしたっけ(今更)
ここが残念 DEEEER Simulator
- 回復アイテムが無い
- やられるとステージの最初から
- ゲームとしてのコスパは微妙か
ゲームとしてのコスパは微妙か
初見では笑ってしまう小ネタが満載ですが、アクションゲームとしての深みはなく、リプレイしようという気にはあまりなりません。横に動きながら撃ち続けているだけでラスボス以外はほぼ倒せるので。
攻略サイトを見ずとも、寄り道要素含め3時間ほどでトロコン出来て遊び尽くせてしまうわりに定価2,000円は少々お高めかと。
一本の鹿映画を観たと思えば良いかもしれませんが。
動画
オープニングから適当なところまで。
ラスボス戦~エンディング(トゥルーエンド → ノーマルエンド)
総評
ごく普通の鹿のゲームはこんな人にオススメです。
- 鹿になりたい人
- 闘争を求める人
- 異世界転生して無双するのが好きな人
- キャラメイクにとことんこだわりたい人
- 塊魂が好きな人
- アーマードコアが好きな人
- GTA6が待てない人

“鹿シミュレータ” というコンセプトは買いますが、アクションゲームとして優れているかと言ったら微妙です。
まぁ優れたアクションゲームを作ろうとは思っていないでしょうけど。
ゲームに限らず、良い作品を生み出すために大切な事とは何でしょうか。
それは製作者の愛。
そんな当たり前の事に改めて気付かされた作品です。
それもラブ、これもラブ、そして鹿の魂からラブです。
総評は「センスと爆発力が打ち上げ花火のように儚く煌めくバカゲー」です。
最近笑ってないなぁという方は是非。
トロフィーコンプリートガイドはこちらです。
