たまゆら300年将棋を愛した俺がひょんな事から竜王戦に出て無双してしまった件
最近また漫画を読む機会が多くてですね。
初めましての作品やお久しぶりの作品を読み漁っていたのですが、「盤王」、これが良かったので紹介したいと思います。
盤王とは
ほのぼの将棋漫画です。
Web版のジャンプである「ジャンプ+」に2022年~2024年まで掲載されていました。
全68話(単行本 全8巻)で完結済み。
完結済みというのは大事です。
あらすじ
永き時を生きる吸血鬼の月山が、将棋と出会い300年。眠ることもなく、ひたすら指し続けてきた。現在はネット将棋と小さな将棋教室を活動の場にしている。
その将棋教室が老朽化により閉鎖の危機に。居心地の良い雰囲気、子供たちの笑顔…。それらを守るため、月山は教室の改装資金4,000万円を将棋の棋戦「竜王戦」で稼ごうと決意。
書いてある通りそのまんまです。
将棋好きの吸血鬼が人目に付かないように300年間コソコソ将棋で遊んでいたけど、お金が必要になったので賞金を獲得するため一念発起、大会に出るというお話です。
登場人物紹介
月山



主人公吸血鬼。現在約550歳。
300年前から将棋にハマって無茶苦茶強くなってしまったヴィジュアル系イケメン。
こう見えて性格が良すぎる。おじさんにモテモテ。
和島

本作のメインヒロイン。
月山がお世話になっている小さな将棋教室の経営者。
和島を助けるために月山は吸血鬼人生初の大会出場を目指す事に。
鈴木


もう一人のヒロイン。
月山(旧名 元四郎)の事が好きすぎるが将棋の事はサッパリな吸血鬼。
アンナ


吸血鬼狩りを生業とするハンター。
なのに将棋にハマってしまった頭のおかしな爆乳お姉さん。
ここが凄いぞ 盤王
- 登場キャラクターが皆いいやつら
- 将棋が分からなくても楽しめる
- 吸血鬼の世界観を通して描かれる人間賛歌
登場キャラクターが皆いいやつら
不快なキャラが一切出て来ないので心安らかに読めます。敵も味方もみんなイイヒト。
特に主人公の月山は、努力家で礼儀正しく謙虚で真面目、更に人間にリスペクトもあるという好感度バカ高いイケメンとして描かれます。
不穏な空気をまといながら登場する仲間吸血鬼や敵対組織の吸血鬼ハンターが登場しますが、どちらも(良い意味で)ポンコツなためむしろほのぼの要員。
将棋が分からなくても楽しめる
バチンバチンと主人公と対戦相手が勢いよく駒を打つ絵から、周りのモブが「おおー良い手だ!」「それは悪手だ!」「ここで攻めるとは!」「美しい駒運びだ!」「簡単には主導権を渡さないぞ!」とかそれっぽい事を騒ぎながらライブ感で試合が展開していきます。


あとAIの評価値の行き来で戦況を説明したり。なんとも現代的な将棋漫画ですね。
まぁその一手が具体的にどう凄いのかなんていちいち解説しても分かる読者が多いとは思えないので良いのではないでしょうか。
実際私も将棋は駒の動かし方しか知らないですが充分楽しめました。
吸血鬼の世界観を通して描かれる人間賛歌
悪だくみするキャラクターがいなくて、ストーリーもシンプルで真っ直ぐ、将棋戦も割とザックリしていて、じゃあ何が醍醐味なのかと言うと、吸血鬼の世界観を通して描かれる人間賛歌です。要は人間って素晴らしいなというお話。
300年間努力し続けた凡人が天才たち相手に勝利する事で努力の大切さを説く。そして「限りある生の全てを捧げる覚悟と執念」を持ってすればその規格外な努力にも並び得るという、人間の可能性が描かれます。
また、AI評価値がアテにならないような極限の戦いも描かれ、こういったところにも人間っていいな的描写が見られます。

所感
キャラが良い、テンポが良い、そしてエンディングが切なくも爽やかで良い。あと単純に絵が良い。
もう少しハンター協会の事や月山と鈴木の過去を見てみたかった気もしますが、テンポとトレードオフになるので悩ましいところなのでしょうね。
怒涛の感情ジェットコースター!というような作風ではありませんが、さくっと読めて適度に熱くなれて読後の余韻もスッキリな名作です。自分も頑張ろうって前向きな気持ちになれてオススメ。
ところで「盤王」ってもちろん「将棋盤の王」だと思うのですけど、もしかして「バンパイアの王」とも掛かっていたり…?

