
1000回遊べるRPG
わたくし、ローグライクが好きです。
いわゆる不思議のダンジョンシリーズというやつです。
プレイすればするほど上達するというのが良いですよね。
テクニックを駆使して危機を切り抜ける達成感、どれだけ上達しても一歩間違えれば簡単に死んでしまう緊張感、強力な装備を拾えた時の高揚感。
まさにゲームを遊んでおる。
で、現在「片道勇者」というローグライクゲームに絶賛ドハマり中です。
いやぁ久々のクリーンヒットです。
こんな面白いゲームがこの世にあったのかと。
300時間ほど遊んで全実績(トロフィー)コンプリートしたのでレビューしたいと思います。
片道勇者プラスとは
2012年にPCの同人フリーゲームとして片道勇者が発売されました。
フリーゲームですよフリーゲーム。無料です。2012年「窓の杜大賞」を受賞。
その後、拡張版として有料の「片道勇者プラス」がPC(Steam)やSwitchで発売され、更にはチュンソフトから商業版リメイクの「不思議のクロニクル」まで発売されました。
趣味で作った同人フリーゲームが大手ゲームメーカーの目に留まって商業版を作る事になるとはとんでもないビッグドリームですね。
今回遊んだ片道勇者プラスはSteam版で定価950円からのセールで195円でした。ヤスゥイ
195円で300時間も遊んでもうた。申し訳がない。
「お布施」って言葉あるじゃあないですか。
そういう風習について理解は出来ても共感は出来なかったのですけど、「言葉」でなく「心」で理解出来たッ!
というわけで不思議のクロニクルも購入済みです。まだ積んでいますけど。
ゲームシステム
前衛殴り合いガチ勢の剣士、術で戦う理術師、山地形や海地形をスイスイ進める冒険家など、特徴的な11クラスから好きなプレイキャラを選択。
8段階の難易度からステージを選びゲームスタート。
「ボス撃破」「特定距離まで進む」等の様々なクリア条件を満たすのが目的です。


様々なクラスで、様々な難易度で、様々なエンディングを目指す、しかもプレイするたびに変化するマップで。という大変リプレイ性の高いスルメゲームとなっております。
プレイングは「こちらが動くと敵も動く」「疲労度(腹減り度)がある」「死ぬとレベル1に戻る」「遊ぶ度にドロップアイテムが変化する」というごく普通のローグライク。

なのですが、このゲームは片道勇者。
その名の通り画面左から毎ターン闇が迫ってきて、この闇に飲まれると問答無用でゲームオーバーとなります。
よく考えたものですよ、マジで。尊敬する。
このシステムのおかげで時間制限という概念が加わり、このターンは攻撃するのかアイテムを使うのかそれとも前に進むのかという判断が求められゲーム性に厚みが出ています。
ストーリー

全てを飲み込む闇から世界を救うために魔王討伐の旅に出る、というだけのシンプルなストーリー。
魔王の目的は何なのか?そもそも闇とは何なのか?このあたりの謎もしっかり作り込まれており、エンディングによって様々な視点から世界の真実が語られます。
登場人物紹介
スタートは主人公(と妖精イーリス)だけで旅が始まりますが、道中で様々な人物とランダム遭遇し仲間にする事が出来ます。
この仲間たちの生き様についてもストーリーが存在しており、仲間にした状態でクリアをするとそれぞれ個別エンドが発生します。
イーリス
主人公のサポートをしてくれる人工妖精。シレンで言うところのコッパ。
顔芸担当&ツッコミ担当。
序盤は戦いませんが、ずっと独りぼっちでいると途中で戦闘キャラとして仲間になってくれます。



ネムリ
闇の影響で半獣半人になってしまった薬師。


パンティ
毎日金をせびってくるノリが軽い傭兵。


ミラ
父親と離れ離れになってしまった女の子。


アルバート
異世界から転送されてきた銃使い。こう見えてボケたがり。



フリーダ
何故か敵に捕らわれている王女様。腐女子。


ヴィクター
魔王討伐を依頼してきた国の一番偉い人でフリーダの父。

デュークガルツ
ヴィクターやフリーダに仕える近衛騎士。多分ホモだと思うんですけど。


魔王
定期的に現れてちょっかいをかけてくる倒すべき敵。


ここが凄いぞ 片道勇者プラス
- 究極のリソース管理とやり繰りの楽しさ
- テンポが非常に良い
- 何度も遊べる工夫が凄い
- 初心者からヘビーゲーマーまで楽しめる懐の深さ
- BGMが素敵
究極のリソース管理とやり繰りの楽しさ
HPや空腹度はもちろん、背後から迫りくる闇、所持アイテムの重量、装備の耐久度と、これでもかとリソース管理が楽しめます。
アイテム毎に重量が異なるのがポイントで、今何を持つべきか、回復アイテムは足りているのか、危機回避アイテムは十分か、武器や防具に不足はないか、常に取捨選択を迫られます。
重量システムは装備の耐久度システムともマッチしており、「うおー!強い武器出た!今持ってる武器2本捨てれば拾えるな…でもこの強い武器が壊れたら素手になっちゃうしグヌヌ…いやしかし壊れる前に次の武器が拾えるかも…?」と悩む楽しさがあります。最強装備で俺TUEEEEEになりすぎないのも◎
また、初期装備では到底勝てないような強ザコが序盤にうろついている場合もあり、この敵とは戦うのかどうか、闇に近づかれるリスクを取って後退するのかという選択も必要になってきます。
これらの選択に正解なんぞ無く、つまり一人一人に一人一人の片道勇者が存在しているわけです。
あの時こうしていればああああ!よっしゃもう一回だ!あーこういうゲーム好き。
テンポが非常に良い
敵味方共に攻撃モーションが短い、ボイスが無い、ダッシュ機能がある(敵に見つかると自動で止まる)と実際のテンポも良いですし、加えて攻撃可能範囲にいる敵の方向を自動で向くオートターゲット機能も非常にゲームテンポに貢献しています。
イマドキのローグライクってみんなオートターゲットなのですかね?これ快適すぎてオートターゲット無しのローグライクもう身体が受け付けなさそう…
何度も遊べる工夫が凄い
エンディングの種類がとても多く、次にどのようなプレイをすれば違うエンディングに到達できるのかという導線もバッチリ。
細かいフラグで色んなイベントが発生したり会話内容が変化する作り込みもされており、プレイするたびに新たな発見があります。

そんでもって11クラスでそれぞれプレイ感がまるで異なるので、やれる事が尽きません。
更にやればやるだけ上達するのですから、これはもう何度も遊んでしまうのはコーラを飲んだらゲップが出るくらい確実です。
初心者からヘビーゲーマーまで楽しめる懐の深さ
初心者には取っつきづらそうなローグライクというジャンルですが、死んでも倉庫に好きなアイテムを預けて次プレイで使用出来るのでよっぽどの方でなければ普通難易度はそのうちクリア出来るようになるかと思います。
もちろん最高難易度で倉庫を使わないというプレイも可能。(私はこれで全クラスクリアしました)
更にはローグライクとしては禁忌にも近いセーブ&ロードが実装されています。と言ってもいつでもどこでもセーブできるわけではないですが。使うも自由、使わないもまた自由です。
BGMがマジで素敵
何も知らない、ゲーム画面を見てもいない家族が「良い曲多いゲームだね」と言うくらい良い。
いわゆる古き良きPCゲーっぽいMIDI音源ってのがまた良い。
サントラ売ってないのかなぁ。買うよ買う買う。
ここが残念 片道勇者プラス
- チュートリアルが少ないかも
- 敵のバリエーションが少ない
- フリーゲーム的なビジュアルと会話のノリが人を選ぶか
- 寝不足になる
チュートリアルが少ないかも
上で初心者でも楽しめると書いたばかりですが、ローグライクのセオリーのようなものは提示されないのでマジでゲームをほとんどやらないような人は慣れるのに時間がかかるかもしれません。
ゲームをほとんどやらないような人がこのゲームを遊ぶかどうかは分かりませんが。
で、慣れるまでには恐らく何度か死ぬ事になるので、「グラも微妙だしすぐ死ぬしよく分かんないクソゲー」と切り捨てられるかもしれません。
敵のバリエーションが少ない
敵の種類自体はそこそこいるのですが、HPの多さと攻撃力の高さで違いを出して近付いて殴ってくるだけというパターンが多いです。
それ以外だと2回攻撃とか状態異常使いとか遠距離攻撃マンとかベタなところは押さえていますが、割合としては多くはありません。
フリーゲーム的なビジュアルと会話のノリが人を選ぶか
プレイ画面もそうですしキャラ会話時の立ち絵もそうですが、やはりフリーゲームっぽさはあります。
ギャグのノリもなかなか人を選びそう。私は気になりませんでしたが。
まぁ12年前の個人製作のゲームですししゃーない。
動画
オープニングから最易難易度エンディングまで。
総評
パッと見のチープさに手が出にくいかもしれません。私も実際購入してから数か月積んでいました。
しかしですね、これぞまさにゲームだと声を大にして言いたい。
これぞまさにゲームだ!!!!
(開発者の想定した)攻略に沿って進めてムービーを鑑賞してまた攻略に沿って進めて…というのももちろんゲームですが、目標を遂げるために何から何まで自分で全てを選択し続けるというのが本当の意味でのゲームという遊び方なのではないでしょうか。
あらゆる状況を想定して時には高価なアイテムさえ切り捨てながら準備し続け、いざ困難にぶち当たったらアイテムを駆使して乗り越えるカタルシス。
良装備を拾えた時にどのタイミングで使っていくのか考えるのもマジで楽しい。
そしてストーリーも世界観もBGMも良いのですからSteamレビューで「非常に好評」を獲得するのも頷けます。
制作者の作品愛をビシバシと感じます。
総評は「ゲームとしての完成度がハイパー高い優秀ゲーム」です。
あんまりこの言葉は使いたくないのですが、神ゲーですわこれ。
私は195円で購入しましたがたとえ8,000円でも文句無しです。
Steamとは?Steamの遊び方についてはこちらです。

実績(トロフィー)コンプリートガイドはこちらです。

商業リメイク版の「不思議のクロニクル」レビューはこちらです。
