
原作を愛する人ほど受け入れられるのか、原作を愛する人ほど受け入れられないのか
前回、個人製作のローグライク「片道勇者」にドハマりしたという記事を投稿しましたが、今回はその片道勇者をチュンソフトがリメイクした「不思議のクロニクル 振リ返リマセン勝ツマデハ」のレビューです。
タイトルがダサい…ダサくない?フリカツって略すそうですよ。
Steamにて定価980円がセールで98円に。
プレイを始めた直後は「なんじゃこりゃ」という感想しか出て来なかったのですが、やはりそこは原作が素晴らしいゲーム。全クラスで最高難易度をクリアし、いつの間にかドップリと235時間もプレイしてしまいました。
片道勇者のレビューはこちらです。

不思議のクロニクルとは
2015年にPS4/vita/PC(Steam)にてスパイク・チュンソフトから発売。
ゲーム内容としては原作の片道勇者と全く同じ、強制横スクロールのローグライクです。
大手メーカーが製作しているだけあって見た目が豪華になっています。あとボイス付き。あとオープニングムービーとかある。スタッフロールもある。




立ち絵なんかは原作の方が味があって個人的には好きですが、やはり不思議のクロニクルの方がキレイにはなっていると言えそうです。
ストーリー

全てを飲み込む “光” から世界を救うために “堕天使” 討伐の旅に出る、というだけのシンプルなストーリー。
堕天使の目的は何なのか?そもそも光とは何なのか?このあたりの謎もしっかり作り込まれており、エンディングによって様々な視点から世界の真実が語られます。
要するに片道勇者と一緒です。
片道勇者との違い
ゲームシステムの詳細は片道勇者のレビュー記事にて。
片道勇者との違いについてですが、まず下記の要素がボリュームアップしています。
- クラス (11種類 → 25種類)
- 装備カテゴリ (ナックル、ブーメラン、オルゴール)
- 敵モンスター
- マップ
- 特殊クエスト
クラスの大幅増は単純に嬉しいですね。
似たり寄ったりの性能のクラスもいくつかいますが。
商業リメイクらしくシレンやダンガンロンパといったコラボクラスも使用可能です。


また細かい点も含みますが、変更点も挙げておきます。
- アイテム名、モンスター名、装備名、技・術名の変更
- 2*2マスの巨大モンスター追加
- ショートカットの使用方法変更
- クラス毎に得意/不得意な武器種の設定追加
- 一部特徴の削除 (闇が速い、敵が強い等)
- 右上のボスタイマー削除
- 仲間と出会える女神像削除
- 隣接時にアイテムリストから矢が投げられない
- 通行税徴収人が殺されると何故かこちらの手配度が上がる
- 装備の消耗率が表示されない
- 装備強化巻物の付与効果が一部除いてランダム
- キャラが大きくなった分、フィールドが狭くなった
- 罠システムの追加
大きな変更としてトルネコやシレンでもお馴染みの踏むと発動する罠システムが追加されています。
これがまぁーーーーーー大不評だったようで、後発のSteam版では罠を可視化するオプションが追加実装されました。(PS4版とvita版は罠が見えない)
踏んだら死にかねない凶悪な罠がだだっ広いフィールドにバラバラと、しかも大量に配置されているのですからそりゃ不評でしょう。
ランダム過ぎてテクニックが介在しないただの運ゲーじゃあないですか。全マスで素振りするわけにもいかないですし。
登場人物紹介
スタートは主人公(と妖精メモリア)だけで旅が始まりますが、道中で様々な人物とランダム遭遇し仲間にする事が出来ます。
この仲間たちの生き様についてもストーリーが存在しており、仲間にした状態でクリアをするとそれぞれ個別エンドが発生します。
メモリア
主人公のサポートをしてくれる妖精。シレンで言うところのコッパ。
イーリスとは違って参戦はしてくれません。イーリスさんより影薄いがな。

キタン
スタート地点に確定で存在している戦士。
後述のナミィとどちらかしか加入させられない。
戦力としては心許ないが、キタンエンド報酬のキタンの剣は軽くて高耐久で威力もあって強そう。(使った事ない)

ナミィ
スタート地点に確定で存在している術士。爆乳。
前述のキタンとどちらかしか加入させられない。
毎ターン間接攻撃の炎術で攻撃してくれるので、スライムも倒せるし床に置いた肉も焼ける。更に好感度イベントを進めると弁当まで作ってくれる。
耐久力は劣るが総合的にキタンより優秀。

ネムリ
原作同様、半人半獣の薬師。
今回は仲良しのクスリが不要で普通に殴り倒して仲間継続。わざわざ仲良しのクスリ確保していたのでオロオロしてしまいました。

バルドフ
戦闘中にスタミナを回復させてくれる陽気な詩人。
連れていると満腹度の消耗が激しくなるというとんでもない罠を持つ。

エアドー
主人公に恨みを持つ敵国の槍騎士。
戦って倒すと、主人公が苦しむ姿が見たいという理由で加入。強い。
主人公がダメージを食らわないと好感度が上がらないのが玉に瑕。


オール
東にあるという黄金卿を目指す商人のおばあちゃん。爆乳。
戦闘には参加しないが死ぬと貴重なアイテムを遺して逝く。


コール
酒場で飲んだくれている酔っ払い。
普通に戦ってくれる他、確率でダメージを肩代わりしてくれるため意外と強い。

ドラコ
迷子のところを主人公一行に助けられメモリアに一目惚れしたドラゴンの子供。
戦闘面では長距離ブレスが強力で、更に好感度イベントを進めると一日一回主人公を乗せて浮遊状態にしてくれる便利屋さん。


メアル
絶倫の書というなんともな伝説のアイテムを探して旅する、両刀使い()の痴女。爆乳。
直接的な火力という意味では仲間の中でNo1クラス。


ココとツチクレ
山賊にいいように使われていた少女ココとモンスターのツチクレ。
出現率が低く滅多に出会えないのは私だけ?
聖なる神殿の扉を開く事が可能な、原作のフリーダ枠。


堕天使アルマ
倒すべき敵にしてメインヒロイン。かわいい。



ここが凄いぞ 不思議のクロニクル
片道勇者と共通する部分は除きます。
- クラスが増えている
- ゼヌーラの立ち絵がある
クラスが増えている
25種類ものクラスでそれぞれ違った旅が楽しめます。
クラス間の強さバランスが取れているとは言い難いですが、対戦ゲームでもないですしそこは問題ではないかと。
またクラス毎に得意/不得意な武器種が設定され、既存クラスでも例えば剣士は剣威力1.15倍が追加されています。
変わったところだと剣0.35倍で他近接武器1.35倍のダークナイト、アンデッドへのダメージ2倍のプリーストなど。
突き詰めていくとどのクラスでも大抵同じような動きにはなってきますが、やはり選択肢が多いというのは良いものです。
モンスターも追加されていますが、追加モンスターは、うーん……種類が増えて嬉しい反面、性能的にゲンナリも。
フライングボムだのスカルアーチャーだの帝王蟲だのどいつもこいつも嫌がらせ度が半端ありません。
特にフライングボムには何度殺されたか。分裂、2倍速、被弾すると継続ダメージの炎上付与&爆発物引火て。

まぁ普通の性能のモンスターを増やしても仕方ないというのも分かりますが。
あ、でもマンティコアとかいう超絶空気モンスターも追加されていましたね。
ゼヌーラの立ち絵がある
原作にあった「全裸になって戦闘力大幅アップ」というゼヌーラ、本作でも使用可能です。
会話内容が変化するのも芸が細かくて良き。




ここが残念 不思議のクロニクル
- 一歩歩くたびにウェイトがかかるかのようにガクガク
- 導線が整備されておらずストーリーが追いづらい
- 不具合が多い
- オンラインプレイ専用トロフィーがある
一歩歩くたびにウェイトがかかるかのようにガクガク
とにかくこれが一番ビックリします。他の残念ポイントが霞むほどの特大うんち。
処理落ちしているのか、はたまたわざとウェイトを入れているのか知りませんが、スムーズに歩いてくれません。
斜め移動もなかなかしてくれず、かと思ったら進みすぎて殴られてしまうなんてことも。
ローグライクとして致命的すぎます。
加えて、会話デモの高速スキップが出来ない、メニューのカーソル移動も遅いと、とにかくテンポが悪いです。
いやしかし原作がテンポ良すぎるだけでこれが普通なのか…?
導線が整備されておらずストーリーが追いづらい
原作では魔王を倒したら次は2,000kmまで歩いてみようとか、闇に向かって聖武器を投げつけてみようとか、次に何をすればよいかヒントがありましたが、本作はほとんど示されません。
やる事は原作と同じなので原作プレイ済みの方には不要な情報ですが、初めて遊ぶ人はアルマを倒すだけのゲームだと思った人もいるのでは。
不具合が多い
矢装備時のナックルの挙動やら、ハルバードの命中率誤記やら、片道勇者の盾補正やら、巨大モンスターの謎地形ハマりやら、アルマの評価ボイスだけコンフィグ設定が効いていないやら、しょうもない不具合が多いです。
イマドキのゲームなんだから後からパッチで修正できるでしょうに何故しないのか。金にならないからか。
その他いろいろ
- 自分の上マスにいる敵を攻撃した時に敵HPが見えない
- 左下のキャラ絵が大きすぎて敵が見えない
- 音量がめちゃくちゃ小さい
- 隣接すると矢が投げられない
- クリア済のキャンペーンにトロフィーが表示されない
- 状態異常の詳細を確認する方法が分かりづらい
- なんで画面右上のボスタイマー無くしたし
- 仲間の好感度が数値で確認できない
- BGMが耳に残らない
上マスの敵のHPだけが見えないのとか、本当にローグライクのプロ集団が製作したゲームなのかこれは。
だったら全部の敵のHPを見えなくすればいいのに。
まさか上から接敵されないように立ち回るゲームだった…?
動画
最高難易度のベリーハードマニアを開幕ゼヌーラでクリアした動画でもどうぞ。
覚醒使ってさっさとアルマ倒せばいいのに何故かぶらぶらと旅を楽しんでいます。
総評
片道勇者にクラスとストレスを追加したゲーム。ままならんですね。
もちろん片道勇者が面白いのでこちらも面白いです。
テンポの悪さは3日くらい我慢しながらプレイすれば慣れると言い聞かせながらプレイすれば慣れかもしれません。私は慣れました。と言い聞かせています。
Steam版は罠を表示できるので罠についてはノーコメント。表示出来るならあってもなくてもどちらでも。罠を表示出来なかったら投げていたと思いますが。
総評は「片道勇者が好きならSteam版不思議のクロニクルもやってみましょう、片道勇者を未プレイならまずは片道勇者をやってみましょう」です。
Steamとは?Steamの遊び方についてはこちらです。

片道勇者のレビューはこちらです。

実績(トロフィー)コンプリートガイドはこちらです。
