ダークファンタジーギャルゲーコマンドRPG
春の激安RPGレビュー祭 第5弾は、「竜星のヴァルニール」です。
737円也。
この前の前に遊んだのが「蒼き革命のヴァルキュリア」でしたか。
オジサンには同じような名前に聞こえるよぅ。
いやでもクリアした後に思いましたね、このゲームは紛うことなき「竜星のヴァルニール」だったって。
竜星のヴァルニールとは
2018年にコンパイルハートから発売されました。
PS4/Switch/Steam(PC)で遊べます。
コンパイルはぷよぷよで有名ですが、コンパイルハートはその関連会社って事なのですかね。
Wikiで調べたのですけど、よぐわがんにゃい。
あ、そういえば今コンパイルって無いらしいですよ。はぇー。
どんなゲームかと言うと、古き良きコマンドRPGをメインに据えながらほんのりギャルゲー要素を加えて煮詰めて水分を飛ばしたと思ったらUIの快適さまで飛ばしたようなゲームです。
スタッフ曰く「ライトユーザーやワールドワイドといったものを完全に切り離す」「10人いれば1人が手に取り気に入ってくれるゲームを目指す」とのこと。その心意気や良し。
ゲームシステム
基本的には極々ありきたりなコマンド式RPGです。
一応「3層浮遊バトル」「捕食育成」「狂気度」といった独自のシステムがありますが、特にややこしくもないですし意識せず遊べます。
「3層浮遊バトル」は、味方が同じ層にいると敵の範囲攻撃に巻き込まれやすくなるとか、敵が同じ層にいれば範囲攻撃で巻き込みやすくなるとか。
「捕食育成」は、敵を捕食する事によりステータスが上がったりスキルを覚えたりとか。色んな種類の敵を食らえば食らうほどキャラが強くなります。
「狂気度」は、選択肢によって上昇して一定値を超えるとエンディング分岐するとかそんな感じ。
そんでもって各ヒロインにプレゼントを渡して好感度を上げて個別エンディングが見られるプチギャルゲー要素も。
あとは完全ターン制ではなく、FF10のCTBのように行動順が可視化されていて素早さや使用技によって次行動が回ってくる順番が変化するというバトルシステムですね。
まぁいずれもゲーマーであればどこかで見た事のあるようなやつらです。
ストーリー
人間と魔女と竜が住む世界。
人間サイドは悪しき魔女が悪しき竜を生み出すと考えており、魔女狩りの騎士団を結成。
騎士団VS魔女の抗争が続く中、主人公の若い騎士が仲間とはぐれて瀕死の重傷を負い、魔女に助けられるところから物語がスタートします。
で、(ゲームなのですから当然)魔女は悪いやつらではなかったわけで、主人公と魔女たちがだんだん打ち解けていくというわけですね。ベタベタですね。
魔女が人間に害をなす竜を生み出すというのは本当で、魔女は竜の血肉を摂取しないと発狂死、竜の血肉を摂取しすぎると胎内の竜が腹を食い破って竜爆誕というハードコアな体質を持っています。うーんこれはダークファンタジー。
「こんな生活もう嫌や魔女なんて辞めたい」→「魔女辞めて人間になれる方法あるっぽいぞ」→「マジかよ頑張るべ」というストーリーが主軸になります。
登場人物紹介
ゼフィ (主人公)
魔女に助けられた魔女狩り騎士団の下っ端イケメン。
融通の利かない熱血漢ですが、魔女の真実を知って次第に態度が軟化。
心の声の描写が凄まじく、ずっと一人でブツブツ言っています。
ミネッサ
魔女でヒロインその1。
家族思いで生真面目で頑張り屋さんという生徒会同級生枠。
発狂時の立ち絵が怖い。
カリカロ
魔女のヒロインその2。
「よし、殺そう」が口癖。
面倒見がよく料理が得意なツンデレお姉さん枠。だって目尻が上がっているもの。
ラポネット
魔女のヒロインその3。
ですわ口調のおっとりおしとやか枠。だって目尻が下がっているもの。
ファル
魔女のヒロインその4。
上3人の妹分で、背伸びしたいお年頃ロリ枠。
シャルロッタ
魔女のヒロインその5。
上4人は家族ですが、獄炎の魔女ことシャルロッタは他所から突然現れた魔女。
謎に包まれた気まぐれ猫トリックスター枠。
妹の皆様
ミネッサたちと共に暮らす幼少組の魔女。
戦闘には参加しませんが、定期的に竜の血肉を与えないと発狂して死んでしまいますし、与えすぎると竜になって死んでしまいます。ジーザス。
ここが凄いぞ 竜星のヴァルニール
- 奇をてらわない王道コマンドRPG
- 演出面のテンポが良い
- 短めながらギュッと詰まったストーリー
- ロードがちょっぱや
(結果的に)奇をてらわない王道コマンドRPG
前述の浮遊バトルや捕食育成に加えて、ロマサガ的な陣形要素や装備の厳選吟味要素なども備えており複雑そうなシステムをしていますが、これらシステムを深く理解して駆使せずとも攻略出来てしまいます。
結果として良いんだか悪いんだか、普通の(普通過ぎる)コマンドRPGになっています。
ボス戦はバフデバフ後に弱点で殴ってHPが減ったら回復するだけと大変シンプル…とは言ってもコマンドRPGって昔から殆どそうですが。
個人的にはアリ寄りのアリです。
演出面のテンポが良い
戦闘中演出、ヒロインにプレゼントをする演出、妹に餌を与える演出、これらは全てワンボタンでスキップ出来ます。
戦闘は通常攻撃とリピートオートも備えているため、やろうと思えばスキップ連打で数秒で戦闘が終わります。そしてロードも爆速。
ストーリーはフルボイスのテキストベースで進みますが全てセリフ送り可能。
シンプルなゲーム内容なだけにこのテンポの良さは非常に大きいです。
これでテンポが悪かったらマジでダメだったと思う。
短めながらギュッと詰まったストーリー
クリアまでのプレイ時間が20時間ほどと短めのストーリーですが、お話的に寄り道も殆どせずに「魔女が存在する意味」「家族愛」という点に絞って進むため充実度は高いです。
逆に言うと本筋に直接関わらないようなサブキャラは意味も無くサクサクと退場していきますが、本作はそれでいいんじゃないかと思います。
ただ魅力的な敵キャラというかライバルキャラが全くいなかったのは少し残念ですかね。
ここが残念 竜星のヴァルニール
- やたらと回避率の高い敵が多い
- UIが全体的に不親切
- フィールドアクションが蛇足すぎる
- ビジュアル的な演出はPS2レベル
敵の回避率高すぎ問題
捕食攻撃が成功するとどれだけ敵のHPが残っていても一発即死させられる & 捕食攻撃が成功するとキャラが強化出来る、というシステムのため基本的にはザコ戦は捕食攻撃連打になります。
そのための対策なのか、異様に回避率の高いザコ敵が多いです。
命中率を高める手段も無いので、運任せに捕食攻撃を連発するか魔法で仕留めるか逃げるかという対応になってしまうのが若干ストレス。
物理攻撃メインのシャルロッタが割を食っています。
捕食成功率は残HPに大きく依存するようにして回避率は下げるとか、やり様はあったのではないでしょうか。
UIが全体的に不親切
防具の種類がとんでもなく多く物理防御特化やら魔法防御特化やら色々あります。
それはまぁ良いのですが、ソート機能が無いのでもうしっちゃかめっちゃかです。
スキルを解放する際も全開放するとどんなスキルが覚えられるのかパッと確認出来ないですし、結局キャラ毎に向いているスキルを解放していくという作業が面倒すぎて片っ端から全部開けていくだけになりがち。
自分だけの拘りのコンセプトパーティみたいなものを作ろうとすると相当労力を要します。
フィールドアクションが蛇足
ダンジョン探索中は操作キャラを都度チェンジする事が可能で、キャラ毎に決められた特殊アクションを実行してギミックを突破していきます。
ゼフィだと光の壁を壊せるとかラポネットだと橋をかけられるとか色々あるのですが、それぞれ使える場所がマップ上にアイコンとして表示されている(アイコンが表示されている場所でしか使用出来ない)のでギミックの体を成しておらず、ただただキャラチェンジが面倒なだけです。
しかもキャラが6人いてポチポチ順送りしか出来ないという。
全てのダンジョンでカビゴンがそこら中に寝ていたら、「どうせポケモンの笛で起こすだけなのに何でこんな事させられるんだ…」って困惑しますわ。
ビジュアル的な演出はPS2レベル
まぁこれは私個人的には全く気にならないのですが。
ストーリーは立ち絵オンリーで進むノベルゲーみたいな感じでムービーらしいムービーはほぼ無いです。
なんとびっくりエンディングですらムービー無し。
そして一枚絵のスチルも数える程度。
戦闘時のポリゴンキャラの造形やアクションもへなちょこです。
動画
オープニングから適当なところまで。
以降の動画はネタバレ含みます。
こちらはラストバトル~トゥルーエンド。
そんでもってトゥルーエンド後の全キャラ分の個別エンド。
こちらはノーマルエンドと狂気エンド(バッドエンド)。狂気に侵されたミネッサさん怖い。
総評
ビジュアル面のショボさやストーリーの短さからどうしても低コスト&チープな印象を受けますが、個人的にはストーリー良し、世界観良し、キャラクター良し、戦闘そこそこ良しの良作だと感じました。
この1か月ちょいで、WOFF、FFCC、蒼き革命のヴァルキュリア、シャイニングレゾナンスと連続で激安RPGをクリアしましたが、この中だと一番好き。
総評は「リッチな大手大作ゲームしか楽しめないという人以外であれば触ってみても損はない」です。もちろん値段も踏まえてですけど。(定価だと厳しい)
あれです、過去にレビュー記事を書いたメガテンライクな3DダンジョンRPG「The Lost Child」をなんとなく思い出しました。安っぽさが。
The Lost Childも割と好き。
安っぽい=つまらないとは限らないってこったぁ。
本作、竜星のヴァルニールはダークファンタジーをうたっていますがそこまでグロい表現も無いので、気になった方は是非。
The Lost Childのレビュー記事はこちらです。