イトケン実装炎上騒動に見る、二次元キャラの「聖域」

たまゆら

飛影はそんなこと言わない

ロマサガRSがプチ炎上した。

きっかけは、サガシリーズの作曲を手掛ける「イトケン」こと伊藤賢治氏がガチャキャラとして実装されたからだ。

ここではロマサガRSを知らない方にも分かるように、何故こんな事になったのかお伝えしたいと思う。

目次

何が起きたのか

ロマンシングサガ リ・ユニバースという過去サガシリーズのキャラクターたちが登場するソーシャルゲームでのお話。

いわゆるガチャゲーであり、1回300円のガチャガチャで出現確率1%のキャラクターを当てて遊ぶゲームだ。(こう書くと酷いゲームである)

ガチャから登場するキャラクターは時期により異なり、大体1か月に15~20種類くらいのキャラクターが入れ替わりでガチャのラインナップに並ぶ。

1か月で15~20種類のキャラクター実装というのはかなり多い方だが、それでもサガシリーズには300以上のキャラクターが存在している。

そのため、「あのキャラまだですか」「このキャラいい加減実装してくれ」というユーザの声が後を絶たなかった。

加えて実装キャラの偏りも見受けられ、人気のあるキャラ、女性キャラ、RSオリジナルキャラは頻繁に色違いが実装される傾向にあり、コアなサガファンはヤキモキする状況が続いていた。

例えばロマサガ3の仲間キャラであるポールやヤンファンは未実装だが、同じくロマサガ3の仲間キャラであるウンディーネは5種類もの色違いが登場している。

これではポールファン、ヤンファンファンはいたたまれない。(ヤンファンファンって言いたいだけ)

そんな中、伊藤賢治氏率いるサガ曲演奏バンド「DESTINY 8」とのコラボと題して、突如ITOKENというキャラクターが実装されてしまう。

FF15のイグニスっぽい
セリフ凄いっすね

さすがにこれには賛否両論巻き起こった。

こういう議論は否定派の方が声が大きくなり不相応に目立つのが常だが、それにしても否定派が多かったように見える。

一番多いのはやはり「俺はサガが好きなのだ。サガの世界に現実の人間を持ち込むな。世界観が壊れる」という意見だ。

こういう意見が出るであろう事は誰だって分かる。私だって分かる。

なのであえて「ITOKEN」というネーミングのキャラクターにして、伊藤賢治氏本人では無いという予防線を張って……

ナンダッテー

ま、まぁ「らしい」だから…

否定派にも様々な派閥が

  • 世界観壊れるよ派 (正統否定派)
  • ゲーム内にリアル人間出すなよ派 (二次元聖域派)
  • 身内ノリ寒いよ派 (ゲーム愛派)
  • サガを私物化するなよ派 (原理主義)
  • 未実装の原作キャラ先に実装しろよ派 (正論否定派)
  • それより水着ガチャ実装しろよ派 (水着派)
  • 配布なら許せたよ派 (穏健派)
  • サガキャラがバンドコスプレするなら許せたよ派 (建設意見派)
  • ITOKENが水着なら許せたよ派 (水着過激派)
  • ITOKENこそTwitterフォロワー数プレゼントにするべきだよ派 (知性派)
  • イトケンの曲は好きだけどイトケン本人には興味無いよ派 (現実主義)
  • イトケンはそんな事言わない派 (飛影主義)
  • こんなのサガじゃないからもう引退するよ派 (引退派)
  • 今後ICHIKAWA、NOBUOも実装されそうで怖いよ派 (懐疑主義)
  • 誰このイケメン派 (反イグニス派)
  • とちぼり降板させろよ派 (とちぼり過激派)

当然様々な意見が見られる。

どれもこれも(一部を除いて)至極真っ当な意見に感じられるがいかがだろうか。

「世界観を大事にするなら水着なんてありえないだろ」と感じる方もいるかもしれないが、もちろん一つ一つの意見はそれぞれ別の人間のものなので、こうやって色々な意見が飛び出す事になる。

過去の事例

スクウェアのゲームにスタッフが登場するという事自体は、実はそこまで珍しいものではない。

サガフロエンディング後の開発室には伊藤賢治氏が登場しているし、FF15にはスクエニの社長が登場して(良し悪しは別として)話題になった。古くはFF4にも開発室があった。

またソシャゲで言えば、グラブルでは植松伸夫氏が登場している。

何故ゲーム内にスタッフを出すのか、単純に疑問である。

一つはファンサービスという意味があるのだと推察するが、「中の人には興味が無い」という人も多い。

これは完全に偏見だが、コアな原作ファン、ゲーム好きなゲーマーほど身内ノリを嫌う傾向にあると思う。

コアなファンほどゲームの世界観を愛しているからだ。

しかし「身内ノリを好むユーザ」と「身内ノリを嫌うユーザ」を天秤にかけた時、前者に向いた方が最終的に収益が上がるという事であればこれはもう何も言う事はない。

当然そういったマーケティングは実施していると思いたいが、現実は「自分が出たいから出した」という話なのかもしれない。それならそれでスッキリするが。

何故ITOKENを実装したのか

今回のロマサガRSのITOKEN実装意図については、DESTINY 8の販促であろう。

通常コラボイベントというのは双方にメリットがある事を見込んで実施するものだが、今回のイベントでDESTINY 8のCDは売れてもロマサガRSのユーザは減りこそすれ増えはしない。

ロマサガRS側はメリットを享受するというよりは、サガシリーズの功労者である伊藤賢治氏に恩返しという意味があるのかもしれない。

そういった運営側の都合で世界観を壊しかねない判断をしている事も、ユーザの反感を買っている一因と言える。

河津氏の「皆さんにとっては、イトケンはスタッフという感覚なんですね。なるほど、分かりました。」という発言もあった通り、既に伊藤賢治氏はスクエニを退社しており、ロマサガRSに楽曲を提供する作曲家でありバンドマンである。

つまり運営からするとこれは身内ノリではないと認識している可能性が高い。あくまで別企業とのコラボイベントだと。

ただしユーザはそうは思わないわけで「身内ノリ寒いわ」となってしまう。その辺りの認識のズレが問題を大きくしてしまったのだと考えられる。

まぁそもそも「ゲーム内にリアル人間キャラは要らない」という意見の方には関係の無い話だが。

今回の騒動を受けて 河津氏の反応

サガシリーズの開発者である河津氏の発言に注目したい。

私もどちらかと言うと中の人には興味が無い(※)方なので妄信的な河津氏アゲをするつもりは無いが、この発言はさすがだと思った。

肯定派も否定派も全員味方につける、まさに必殺の一撃である。

今回のコラボについて「どうでもいい」という感想しか抱かなかった、そして肯定派や否定派の意見を「ほーん」としか思わなかった自分を恥じた。

「こんな事」に真剣になることが「こんな事」を進歩させていく。

決して正統派とは言えないサガシリーズで挑戦し続けた河津氏だからこそ、この発言は重い。

出来る事ならば私も座右の銘としたい。

河津氏に許可貰ってこようかな。

そして次作、楽しみにしています。

(※) 中の人に興味が無いというのは決してリスペクトが無いわけではない。LUNA SEAが好きで毎日聴くし存在している事に感謝しているし立ち振る舞いも超カッコイイと思っているが、RYUICHIが今日何したとか食事の好みがどうとかは興味が無い。でもLUNA SEA愛はそんじょそこらのファンには負けない。そういう話だ。

個人的な感想

現在に至るまでに満遍なくキャラを実装していれば、否定意見は上がれどこれほどの騒動にはならなかったのではないかと推察する。

「僕の私の好きなキャラがいつまで経っても実装されないからもうこのゲームやめそう」という人がいる中でのITOKEN実装は、客観的に見ても悪手と言わざるを得ない。

キャラ実装までに4か月?5か月?かかるとプロデューサーが語っていたが、4か月も前から準備を進めていてその間誰もノーと言わなかったのだろうか。不思議である。走り出したら止まれないのがプロジェクトの宿命だとしても。

サガ好きが多くプレイしているゲームなのだから「サガが好きだからこそ受け入れられない」という意見は尊重されるべきだと感じた。

「イトケンが実装されないからこのゲームやめるわ」という人はいないと思うので。

皆ハッピーが一番。

個人的にはITOKEN実装について前述の通り「是も非も無い」「(推しのロマサガ1キャラじゃないので)どっちでもいい」という考えだったので、偶然入手した事もあり普通に育成している。

気になるのは今後の扱いだ。

ゲームの性質上、色違いのキャラが増えるほど使い勝手が良くなるし、色違いのキャラが出ないとどんどん相対的に弱くなる。

今回の騒動を受けてなおITOKEN-2を実装するのかどうか。

進むも地獄、退くも地獄。

どちらに転んでも再び盛り上がりそうで、ある意味楽しみである。(性格悪い)

まぁロマサガRSは餅が降ったりヒロインが妊娠させられたり今まで色んな事がありましたので、今回の件もすぐ慣れるんじゃないかなって思っています。それにしても生身の人間実装は異質かな?

伊藤賢治氏に罪は無い。良いものは良い。

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