2000年の時を超え戦っていたのは君なのだから(誰?)
2023年4月20日、ようやくPS4/SwitchでもFF1〜FF6ピクセルリマスターが発売されました。
元々スマホとSteamでしかプレイ出来なかったのですよね。
価格はFF1〜2が各1,480円、FF3〜6が各2,200円。
単品でそれぞれを全部買うと11,760円ですが、まとめ買いするとお得な9,172円になります。
もちろんまとめて購入させていただきました。
で、発売日にまずはFF1をクリアしたので簡単に紹介させていただきます。
FF1とは
皆様ご存知、日本が世界に誇る一大コンテンツ、ファイナルファンタジーシリーズの記念すべき1作目です。
原作は1987年12月18日、ファミコンで発売されました。
同時期のライバル作品としてはドラクエ3(1988年2月)があります。
猫も杓子もおとなもこどももおねーさんもドラクエドラクエで、「ドラクエ狩り」が発生するほどの絶対王権一強時代に小さいながらも風穴を開けた作品と言えましょう。
FF1は初代からまさに今のFFシリーズ作品と同様、圧倒的なビジュアル力と革新的なチャレンジスピリッツを見せつけてくれます。
移動手段は船にカヌーに飛空艇、冒険するロケーションは沼地に火山に氷の洞窟に砂漠に海底に塔に浮遊城に加えて更にタイムトリップまでします。
そして登場キャラクターがまた多く、王国騎士、預言者、賢者、海賊、エルフとダークエルフ、魔女、バンパイア、ゴーレム、ドワーフ、妖精、ドラゴン、ロボット、人魚、天空人と、ファンタジー要素の宝石箱やぁ状態。いやいやチャレンジしすぎ。
もちろんレトロゲー必修のダイナマイト要素もバッチリ押さえています。
今回私は薄れゆく記憶を頼りに攻略を見ずのんびり普通プレイをしましたが、6時間ほどでクリアしました。
6時間でこれらの要素を全部味わえる作品は後にも先にもFF1だけでしょう。良いか悪いかは別として。
そういえば、よく言われる名前の由来「これがコケたらスクウェア倒産で最後の作品になってしまうという意味でファイナルファンタジー」は誤りだそうです。
FF(エフエフ)と呼んで欲しかったためFで始まる単語ならファイナルでなくても何でも良かったそう。ファイファン派が泣いてまう。
当初はファイティングファンタジーにするつもりだったけど既にその名前のゲームがあったからファイナルファンタジーになったとか。
ファイティングファンタジーにしなくて良かったですね。
ファイティングファンタジーファンには申し訳ないですけどちょっとかっちょ悪い。
ピクセルリマスターの変更点
GBA版やPSP版で既にあった変更点かもしれませんが未プレイなので、あくまで原作FC版との比較です。
あとこれらはFF1のというよりピクセルリマスター全般の変更点ですね。
- オートセーブ
- 倍速オートバトル (前回コマンドリピート)
- ダッシュ、斜め移動
- エンカウント ON/OFF
- 獲得経験値 0〜4倍
- 獲得ギル 0〜4倍
- 画面右上にミニマップ
- 全体マップ
- BGM アレンジ/オリジナル切り替え
- フォント モダン/クラシック切り替え
- モンスター図鑑
- サウンドプレイヤー
- イラストギャラリー
- アイテムや装備や魔法の説明文
- 中ボス戦用BGM、四天王戦用BGM、ラスボス戦用BGM
- 知性のパラメータが有効になって魔法威力に反映
パッと思い付く限りでこんな感じです。
原作はとにかく説明不足で不親切極まりない作りでしたが、随分遊びやすくなっています。
戦闘中に使うと魔法が発動する装備が分かるのはありがたい。
オートバトル
とにかく戦闘が多いゲームなのでオートバトルが便利です。
オートバトルは前回コマンドリピートのみなのでやや癖がありますが、慣れればなんて事ありません。(解除し忘れると2ターン目で残り少なくなった敵に強力な魔法をぶっ放してしまったりする事はありますが)
オートバトル時にしか倍速出来ないのはちょっと不便かなぁとは思いました。
フォントとBGM切り替え
フォントのモダンとクラシックの違いはこんな感じ。
BGMも切り替え可能で、オリジナルに変更するとまんまFC版の音が流れます。楽しい。
ブースト機能
エンカウントON/OFFや獲得経験値ギルを弄るブースト関連の機能は今回私は使いませんでしたが、人によっては便利かと思います。
私が使うとしたら0倍とか0.5倍とかで縛りプレイする方ですね。
マップ機能
一番驚いたのがマップです。
右上に常時表示されるミニマップと、□ボタンで開く全体マップがあります。
どちらも街では施設アイコンが表示され、フィールドでは行った事のある街やダンジョンが表示されます。
それは良いのですが、ダンジョンマップではなんと階段や宝箱まで表示されます。
しかも初訪問のダンジョンでも入った瞬間に隅から隅まで確認可能。
マップを見ながら進めば空き部屋に入る事もなければ行き止まりに引っかかる事もなく、効率的に宝箱を回収しながら進めます。
いや便利ですけどそれはゲームとしてどうなのだろうか。
「文句あるならマップ見なきゃいいじゃんはっ倒すぞ」と言われてしまうとそうなのですけど、いや別に文句言っているわけではなくてですね、というか初回プレイの人間がデフォルトで付いている機能をいきなり縛るのは違うような気もしませんか。
ここが残念 FF1ピクセルリマスター
- ドット絵は人を選ぶかも
- 追加ダンジョン的なものが無い
ピクセルリマスターとしての不満点はやはりこの2点でしょうか。
ドット絵は人を選ぶかも
原作の頃から担当されて数々の名キャラクターを生み出した渋谷氏が担当されているそうですが、いやもうほんとその節はお世話になっておりますありがとうございますですが、それとこれとは話が別です。
なんでしょう、この初期のRPGツクール感は。
モンスターはいいのですけど味方キャラが。
色んな事情があったのだとは思いますけど、FFRKのドットの方がカッコイイよなぁ…
クラスチェンジ後のキャラの眼が全員 T とかどうなの。
でもピクセルリマスターのドットもなんだかんだで慣れます。人間って凄い。
追加ダンジョン的なものは無い
GBA版やPSP版にあったらしい追加ダンジョンは削除されています。
あくまで原作FC版をリマスターした作品、という主張なのでしょうけどやはり残念なものは残念です。
FF1は特に序盤がキツくて中盤から終盤はずっと楽勝というゲームバランスなので、鍛え上げたパーティで強敵と戦ってみたかったというのはあります。
動画
ラスボス戦からエンディングまでの動画です。
スタッフロール長すぎぃ!(10分)
所感
35年以上昔のゲームが綺麗な画面で遊べる、無線コントローラで遊べる、それだけで価値があると思います。
ジョブの組み合わせによって色々なコンセプトプレイや縛りプレイが楽しめるのも個人的には好き。
PSもSwitchも持っとらんがなという人も、スマホ版があるので機会があれば。
さてここからは独り言です。
マップのところでも触れましたが、ゲーム体験とは何か、そもそもゲームとは何かと、改めて考えさせられました。
ゲームにとって多かれ少なかれ「苦難を乗り越えた際のカタルシス」という要素は欠かせないものだと思っています。私はね。
苦労してダンジョンを踏破した、頑張って強敵を倒した、だからこそプレイヤーの心に深く刻まれるのではないでしょうか。
FF1ピクセルリマスターはブースト機能を使わなくても正直簡単すぎます。
もちろんただ理不尽なだけ、ただ難しいだけではダメでバランスが大事ですよ。
そのバランスがうまく取れていて、そのバランスがより多くのプレイヤーに受け入れられるゲームが名作と呼ばれるのだと思います。
極端な話、一本道のダンジョンでザコもボスもワンパンで倒せるRPGがあったらいくらストーリーが素晴らしくてもクソゲーでしょう。
ダンジョンマップに宝箱も階段も全部載っていて迷いようもないという機能は、これで楽しいゲームになると思って実装したものなのでしょうか。
ダンジョンでピンチになったらワンボタンでエンカウントOFFにして街まで楽々撤退可能なんて、それで良質なゲーム体験が提供出来ると思って実装したのでしょうか。
「んなもん使いたい人が使えばいい」、ではなくて。少なくともマップは標準機能ですし。
ゲームバランスの調整をプレイヤー側で出来るのは一見ユーザフレンドリに見えますが、ゲーム開発者なのであれば「どうだ俺の作ったこのゲームバランスは最高だろう」と矜持を持って提供してほしい。
「麺の硬さも味の濃さも脂の量も選べますよ」ではなくて、店主が命をかけて長年研究したプロの至高の一杯を自信満々で食べさせてほしい。
何でもかんでも便利で面倒臭くないという事が持て囃され、果てはゲームは配信視聴で十分という人もたくさんいるこの時代において、こういう話はナンセンスだとは理解していますが。
時代よの。
ってゲームレビュー記事の2回に1回はこの話していますね。
おじいちゃん、もう一生ファミコンで遊んでたら。
でもさでもさ、万が一、ほぼ無いと思いますが、FF1未プレイのイマドキの子がちょっと興味持って本作に触れて「あ、エンカウントOFFとか経験値4倍とかあるのね、めんどくさいから使うかぁ」ってマップを見ながら迷いようもないダンジョンをクリアして、それでFF1が面白いと感じるのかって考えたらノーだと思いますよ。
せいぜい「こんなもんかぁ」で3日後にはどんなゲームだったかも覚えていないでしょう。
そういうのが悲しいの。ぼくの大好きなファイナルファンタジーはこんなもんじゃないって。
余計なお世話ですって?いやいやFFファンが一人でも増えてくれたらシリーズが繋がるじゃないですか。
新規プレイヤーなんてハナから対象にしていないのかもしれませんが。
と不満もありますが、引っくるめると懐かしかったですし買って良かったとは思っていますよ、これでも。
ただFF1ピクセルリマスターとしては記憶には残らないでしょうね。
FFピクセルリマスターの他作品レビュー記事はこちらです。