我は汝、汝は我
2024年春の激安RPGレビュー祭 第9弾は「ペルソナ5」です。
もう7月ですけど。
いやぁしかし急に夏ですね…いい加減寝室にエアコン付けないとフッと死ぬかもしれません。
それはさておき、ペルソナ5ってすっごい人気あるらしいですね。
実は私メガテニストではあるのですがペルソナシリーズは2罪罰で止まってしまっていて、すっ飛ばしての5プレイでした。
ってかペルソナシリーズ20周年ですって。
そら私も南条くんも初老になってしまいますわ。
裏と表が逆の10円玉好き。
で、本作ペルソナ5ですがお値段522円也。
人気作なのになんでこんな安いのかって、追加シナリオが含まれている完全版?拡張版?の「ペルソナ5ロイヤル」が発売されたから。
今回私がプレイしたのは無印版です。
初回クリアまでまさかの90時間。裏ダンジョンとかやり込みとか無しで。ドラクエ7かな?
更にトロコンするために2周目をプレイして合計165時間遊び倒しましたのでレビューです。
ペルソナ5とは
実在の(?)神や悪魔をぶちのめして仲魔にして合体させるという、海外では発禁モノの女神転生シリーズからスピンオフ的に派生して、今や本家女神転生よりも売れっ子となったのがペルソナシリーズです。
女神転生シリーズがわりとオトナのハードボイルドな世界観(世界滅びがち)なのに対して、ペルソナシリーズは学生らしい葛藤や成長を描く冒険活劇といった棲み分けがされています。
また女神転生シリーズは悪魔を連れ歩いて一緒に戦いますが、ペルソナシリーズは悪魔を自分に憑依させて(厳密に言うとちょっと違いますけど)戦うのも特徴的です。
そんなペルソナシリーズの新作が2016年にPS3/PS4で発売されました。
後に完全版のロイヤルは他ハードにも移植され、今では現役ハードであれば一通りで遊べます。
売上本数は全世界で脅威の300万本超え。
かつ、ロイヤルも300万本以上売れているらしいです。
えぇ…凄まじすぎる…
いやだってほとんどリピーターだとしても無印が気に入ってもう一回やりたいと思って買っているという事で凄いですし、新規が無印買わずにロイヤル買っているとしても評判の高さから買っているという事でそれはそれで凄い。
どうなっとんねん。B’zのベストアルバムかよ。
その人気の高さからテレビアニメまで放映されました。
アニメ映えしそうだもんなぁ。後で観てみようっと。
ゲームシステム
思った以上にメガテンでした。
ややこしいシステムは全く無く、過去に女神転生やペルソナをプレイした人であれば秒で入っていけるシステムです。
仮にシリーズ未経験者だとしてもそこまで複雑ではないので分で入っていけます。
王道中の王道のコマンドRPGに、ときメモ的な育成シミュレーションが加わった感じ。
- 約1年間を1日ずつプレイ、ダンジョンに潜るも仲間と親交を深めるもパラメータを上げるも自由
- 戦闘はガッツリコマンドRPG
- 敵悪魔と会話交渉有り
- もちろん悪魔合体も有り
日常パートでは学生ライフを満喫しつつ、知識・魅力・度胸・器用さ・優しさといった人間パラメータを育成し、イベントをこなしていきます。
たとえば誰か困っている人がいた場合、優しさが一定レベル以上だと助けてあげられるとか。
ゲームシステム的に言えば他人との関係を深めていく事によりスキルを習得してゲーム攻略が楽になるという要素ですが、これがストーリー的にも納得の出来る理由に落とし込まれているのが好感触。人と仲良くなるの大事。
何をするにも時間が経過するので、あちらを勃てればこちらが勃たず、完璧プレイをしないと気が済まない人にとってはストレスかもしれませんが私はこういうの好きだったりします。
人それぞれのプレイスタイルが表れるやつ。
私はひたすらステータスを伸ばすのが好きです。
戦闘システムについて
戦闘に関しては弱点を突く事により大ダメージを与えるだけでなく再行動が可能になるので、いかに弱点を突くか、いかに弱点を突かれないようにするか、という爽快感と緊張感のある駆け引きが楽しめます。
メガテン3のプレスターンバトルと似ていますね。
各種行動がそれぞれのボタンに振り分けられているのでワンボタンで実行出来たり、既に弱点が分かっている敵であれば自動で弱点スキルを選んでくれたり、ソウルハッカーズ2で見られたような便利機能もあります。(ソウルハッカーズ2よりこちらの方が古いですが)
気を抜いて適当にプレイしているとザコ戦であろうと速攻で全滅するのはメガテンあるあるですが、ペルソナ5でも踏襲されています。好き。
実際難易度NORMALでもザコ戦で何度か全滅しました。
先制されて状態異常食らってそのままボコられて何も出来ず全滅とか。
ひょっとしたら「それの何が面白いの?」と思われるかもしれませんが、先制されないような対策や状態異常にかからないようにする対策は可能なので、全滅するのは私が悪いわけです。
苦難を乗り越えた際に幸福を覚える人生と同じです。仕事の後のビールが美味しいのと一緒とも言えます。まぁビールは休日の朝から飲んでも美味しいのですけど。
そしてシリーズ恒例、悪魔と会話をして仲間にする事も出来ます。
私が直近でプレイしたのがメガテン3とソウルハッカーズ2なのですが、どちらも悪魔会話が微妙or存在しないのですよね。
なのでペルソナ5でガッツリ会話出来るのはとても嬉しかったです。
こうして会話でこちらに引き入れた悪魔をペルソナとして装備したり、ペルソナ同士を合体させて更に強力なペルソナを作成したりして主人公を強化していきます。
ストーリー
オープニングで「心の怪盗団だから」という理由で逮捕された主人公。
何故自分が心の怪盗団になったのか、心の怪盗団としてこれまで何をしてきたのか、尋問されながら振り返るというパターンでお話が進んでいきます。
突然手に入れた他人の心を改心させる力で世直しを試みる青臭い少年少女の正義、自己の利益のために理不尽を押し付ける強者の悪、諦めの境地で思考する事を放棄した大衆の無、そしてこれらを裏で操る黒い影と真の黒幕、それぞれの主義主張がメインで描かれます。
見えない力で悪人を改心させていき、世論が怪盗団支持派と反対派に分かれる様はさながらデスノートの様相。
そして最終的には悪い神様をブッ殺して世界を救います。うーんこれはアトラス劇場。
登場人物紹介
主人公 (ジョーカー)
冤罪で犯罪歴が付いてしまい転校を余儀なくされた高校2年生。
選択肢でしか喋らない系でデフォルトネームが無い系の主人公。
ひょんな事から他人の心に侵入して改心させる力を得て、世直しに奔走する事になります。
学校の担任を恋人にして家に呼びつけてカレーを作らせている間に他の女と遊ぶという所業をやってのける剛の者。
最大9股まで可能。
竜司 (スカル)
主人公の同級生のヤンキー。
そらもう見た目からまんまお調子者のイイヤツの特攻隊長で「俺、馬鹿だからよくわかんないけどよお」と言いつつ本質突く的な億泰キャラ。
あんまり本質を突く場面はありませんけど。
モルガナ (モナ)
最序盤に戦う悪徳体育教師の心の中に囚われていた喋る猫。
なんであんな所にいたのかは不明ですが、心の怪盗としては先輩なので物語を引っ張っていってくれます。
ドラゴンボール中期以降のピッコロさん的なポジション。
杏 (パンサー)
主人公の同級生の帰国子女で女子高生モデル。
鞭で敵をしばく女王様キャラ。
でもおっぱいは揺れません。
祐介 (フォックス)
主人公と同学年ですが別の高校に通う、イケボで画家でド天然の変態。
隙あらばその人畜無害な天然ボケっぷりをイケボと共にネタにしてきます。
こんなの人気出るに決まっているじゃあないですか。好き。
真 (クイーン)
主人公の一つ上で、3年生の生徒会会長。処女。
校長からも目をかけられて家族からも期待されて校内の風紀を正すために粉骨砕身頑張りますが、結局主人公たちと関わる中で自分の生き方は自分で決めるべきと気付いて世紀末覇者先輩となります。
ありがち。
でも好き。
双葉 (ナビ)
主人公の居候先に先住している引きこもりハイテク少女。
意外や意外、怪盗団メンバーの中で一番戦う理由が強いのではないでしょうか。
春 (ノワール)
3年生のゆるふわ美少女怪盗。
怪盗団一の常識人のように見えて意外とボケ体質&ノリが良い。
隠れ巨乳。
その他の皆さん
怪盗団メンバー以外の街の住人たちとも親睦を深める事が可能で、便利なスキルを教えてもらったり恋人関係になったり出来ます。
武見先生好き。
ここが凄いぞ ペルソナ5
- 悪魔のデザインが往年作品を踏襲しつつブラッシュアップされている
- いつも通りペルソナ全書の解説は充実
- 怪盗らしい凝ったギミックのダンジョン&物陰に隠れるカバーアクション
- 持っていない(けど全書登録済)ペルソナも含めた検索合体
- 主要スポットへ一発ショートカットで移動
- 親密度の上げられるタイミングで対象キャラからお誘いメッセージが来る
悪魔のデザインが安心する
ペルソナ=オサレ=悪魔のデザインもなんかオサレ風に変わっているのかなーと勝手に想像していたのですがそんな事はありませんでした。
メガテン3のデザインをベースにしつつ、細かいところが書き加えられたりキレイになったりしています。
20年前のゲームから大して進歩していないとも取れますが、個人的には安心するというか感動するというか。やっぱりこれよこれ。
凝ったダンジョンギミック & カバーアクション
ダンジョンの数自体は多くないですが一つ一つのギミックが凝っています。
またボリュームも凄まじく初見では一回の潜入では攻略しきれずに(ゲーム内で)何日かに分けて計画的に攻略していくような長さです。
ダンジョンが長いというのは良い面も悪い面もあるかとは思いますが、それぞれのダンジョンで雰囲気が作り込まれているおかげでダレずに遊べて個人的には良かったと思います。
苦労して苦労してダンジョン攻略して、さぁボス戦行くぜって時に流れる曲がとても上がる。テテーテテーテテーテテーテーテー↑
物陰に隠れて敵を強襲する事で先制攻撃が取れるカバーアクションも怪盗ならではで良き。
痒い所に手が届く便利機能
合体では全書を含む検索合体、日常パートでは主要スポットへの一発ショートカット、親密度が上がるタイミングのキャラからお誘いメッセージ、ダンジョン攻略ではオートリカバーやアシストアタック等、無駄な手間は省けるような設計がされています。
またオンライン機能をONにしていると、他のプレイヤーがその日にどんな行動を取ったのか、他のプレイヤーのその日の平均レベルはどれくらいかといった情報が確認可能です。
私はほぼ確認しませんでしたが、効率プレイをしたい方にとってはかなり便利な機能ではないでしょうか。親切親切。
ここが残念 ペルソナ5
- オープニングなっげぇ、序盤の展開がまどろっこしい
- カバーアクションは慣れるまで思った通りに操作しにくい
- 状態異常が強力でかつ成功率も高すぎる
- あれよあれよとラスダンに突入して脱出不可
- ラストの展開は急すぎやしませんかね
- 周回プレイに向いていない
- トリックスタートリックスター言うくせにロキいないの?
オープニングが長い
初戦闘までたっぷり1時間かかります。イマドキ珍しいような。(そもそもイマドキのゲームじゃないか)
序盤の展開もかなりまどろっこしく、ダラダラダラダラと坂本くんさぁ。
ようやく本格的に話が動き出してからも実際には意外と自由行動出来るタイミングが少なく、事ある毎に強制イベントが発生します。
「明日も早いから今日はもう寝ようぜ」じゃあないのですよ。私は夜型なのですよ。
カバーアクションは慣れるまで思った通りに操作しにくい
カバー(隠れる)とアタック(戦闘開始)とギミック操作が全て○ボタンに割り当てられており、慣れるまでは誤爆必至です。
こちらから先制攻撃するのが前提なところがあるので、誤爆してしまうと敵から先制攻撃を受けてそのまま全滅→セーブポイントまで巻き戻しという悲劇も。
カバー時のカメラワークも悪いです。なんであんなにカメラ動かないの。
状態異常が強力かつ成功率が高い
食らうと行動不能になり数ターン後に死亡する「絶望」、敵に有利な行動を取り続けるいわゆる魅了の「洗脳」、これらの状態異常を食らってしまうと立て直すのがかなり難しいです。
ザコ戦であれば先制すればそのまま弱点を突いて殲滅出来ますが、ボス戦ではそうもいきません。
執拗に全体洗脳のブレインジャックを連発してくるバフォメット型のボスと戦った時は頭を抱えてしまいました。
こちらが状態異常を使っても成功率は高いのですが、基本的には火力で押し切った方が楽なので敵ばかり有利な要素だと思います。
周回プレイに向いていない
日々どのような行動をするのか、誰と仲良くなるのか、プレイングの幅が広いので何周でも遊べそうな作りになっている本作。
しかしクリアまでのプレイ時間が非常に長く、強制イベントは多め、冗長な日常会話、長いダンジョンに多めのロード演出と、周回プレイを妨げるような要素もてんこ盛りです。
1周目では頭を捻って苦し楽しみながら解いた煩雑なギミックも2周目だとただひたすらに面倒なだけです。
動画
最初から最後まで全編録画禁止なのです。残念。
総評
個人的にはここ数年で遊んだRPGとしてはトップクラスに面白かったです。
細かい残念ポイントこそあれどそんなもの些細な事だと思えるほどハマりました。
やっぱりメガテンの悪魔が好きなのですよねぇ…ほんとに。
悪魔と戦うのも好きですし会話交渉も好きですし合体継承を考えるのも大好き。
ただし客観的に見ると下記のように感じる人もいるかと想像します。
- 主人公たちの行動理念が幼すぎる
- 風刺や皮肉やメッセージ性が鼻に付く
- 日常パートで取れる選択肢が多くて逆にストレス
- 話が長い
- ダンジョンが長い
- オサレぶった演出がくどい
- 敵が強い
ストーリーは特に賛否両論分かれそうではあります。
私は主人公たちの行動理念にはあまり共感出来ませんでした。
が、自分の都合の良い事だけを信じて掌くるっくるひっくり返す大衆を通し「周りに流されていないで自分でちゃんと考えて生きろ」的なメッセージは刺さりました。
いつの時代もそんなものなのですよねぇ。そうはなりたくないなと自戒の念を込めて。
そういう説教臭いの要らないから、と感じる人もいると思います。難しいっすね。
総評は「時間がある人は食わず嫌いせずやってみてほしい。特にオールドメガテンファンには意外とオススメ」です。
ゲームに何を求めるか、人生においてゲームがどんな立ち位置か。
この娯楽に溢れきった時代、一本のゲームをコンプリートするために165時間かけられる大人ゲーマーがどれだけいるでしょうか。
しかし楽しい楽しい165時間でした。
我こそはと思う方は是非。
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