心じゃよッ!
前回ドハマりしてしまったペルソナ5の後日談を描いた正統続編が出ているという事でそちらもクリアしました。
「ペルソナ5スクランブル ザ ファントムストライカーズ(以下P5S)」です。
実は昔々にPS4のフリープレイで配信されていたのでダウンロードだけはしてあったのです。
昔の私、偉いぞー。
いやぁめっちゃ面白かったです。
なんなら本編より好きな部分も結構あったり。
1周目クリアまで50時間、2周目トロコンまで+20時間の合計70時間遊びましたのでレビューです。
P5Sとは
2020年にPS4/Switch/PC(Steam)から発売されました。
なんとあのコーエーテクモとの共同開発で三国無双ライクなアクションゲームとなっています。
売上本数は全世界で200万本。
ヤバ。
ペルソナ5-2ならまだ分かりますよ?
しかしゲーム内容もタイトルも変えたスピンオフ的な作品が200万本て。
「ペルソナ5スクランブル ザ ファントムストライカーズ」ってタイトルからもうハズレっぽいじゃあないですか(失礼)
化け物か。
ソウルハッカーズ2の売上、5万本らしいですけど…
ゲームシステム
前述の通りパッと見は無双シリーズみたいなアクションゲームなのですが本質は全く別物です。
本編ペルソナ5の特徴的な戦闘システムが、アクションゲームとして美しく昇華されています。
- シンボルエンカウント → シームレスにアクションバトル開始
- カバーからの奇襲で先制攻撃
- 最大4人パーティで戦う
- リアルタイムに操作キャラをバトンタッチ可能
- 弱点を突いて1MORE追撃 or バトンタッチ追撃
- ダウンさせて総攻撃
- 近接攻撃に加えてペルソナ攻撃や銃攻撃も有り
- 地形を利用した特殊アクションで攻撃や回避が可能
- 装備ペルソナにより属性耐性を得られる
- ジョーカーのみ複数のペルソナを事前にセット可能
- ジョーカーのみ戦闘中にペルソナチェンジ可能
「ペルソナ5の戦闘をアクションにしたらこんな感じかなぁ」という妄想そのまんまといった様相。
よくぞここまで違和感なく落とし込んだなと感心しますわ、マジで。
最初のダンジョンから、ガチャガチャやっているだけではやられます。
その辺も無双シリーズではなくペルソナ感満載。
ゲーム全体としての流れも基本的には本編と同じで、現実世界での自由行動パートとダンジョンでのバトルパートを繰り返して物語が進んでいきます。
ただしアクションバトルに重きを置いている設計上、それ以外の要素は簡略化されている部分も多々見受けられます。
- 悪魔会話無し (ペルソナが直DROPする)
- ペルソナ合体は簡略化 (検索合体のみ)
- ペルソナ数の減少 (本編の半分くらい)
- コープは無し (恋愛要素も無し)
- 人間パラメータは無し
- スケジュール管理は無し (自由行動やダンジョン途中離脱で日数が進まない)
その他、ストーリー進行に応じて日本全国様々な都市が拠点になるのも本編とは異なる点。
ストーリー
本編終了から約半年後の夏休み。
実家に帰った主人公や大学進学した真や春も久し振りにルブランにカムバックし、怪盗団の皆で旅行に行ったりバーベキューしたり夏休みを満喫しようぜー的なノリ。
だったのですが、全国各地で謎の改心事件が再発。
怪盗団の仕業ではないのですが当然警察には疑われるわけで、このままだとまた逮捕されちまうぞと。
しかたねーなーという事でキャンピングカーで全国各地を巡りながら真犯人探し & ついでにドタバタ旅行を楽しむというストーリーとなっております。
ガチの続き物じゃん。
登場人物紹介
主人公 (ジョーカー)
ボケ選択肢のキレが増した、すけこましの伊達メガネ料理人。
またベルベットルームに収監されてて笑う。
(色んな意味で)業が深いからね、仕方ないね。
アクションとしては使いやすい素直な性能で、更にシステムを理解して特化ペルソナを作っていけばペルソナチェンジが非常に強力です。
竜司 (スカル)
本編よりも落ち着きを見せ、割とツッコミキャラとして機能しています。
パイセン弄りが冴えわたっています。
ブースター系が貧弱なのでジオ系の威力は伸び悩みますが、反面、特殊攻撃の溜め攻撃が鬼強い。
モルガナ (モナ)
ネコどころかタヌキと間違われるという新ネタが美味しい。
相変わらず低めな体力と充実した回復魔法というヒーラー枠です。
でもNPC任せにしているとあまり回復してくれない畜生。
特殊アクションのモルガナカー轢き殺しアタックがあまり強くないのが残念。
杏 (パンサー)
しっかり揺れるようになりました。
アクション面ではブースター系と状態異常付与時にSP回復するソウルスティールというスキルのお陰で、火炎弱点相手には無双出来ます。
祐介 (フォックス)
変態っぷりに一層磨きがかかったオイナリさん。
コンボでブフ系を出しにくい & 出せてもあまりダメージが伸びない & マハブフダインまでしか覚えない & 特殊攻撃のカウンターが微妙 & 連続斬りも威力イマイチと、若干使いづらいのが悲しみ。
全体的に物理スキルが不遇なゲームなのも向かい風。
真 (クイーン)
帰ってきた任侠大好き世紀末覇者先輩。
こちらも祐介同様にコンボからのフレイ系は若干使いにくいのですが、スキル一覧から手動で連発すれば充分なダメージを確保出来るだけだいぶマシです。
マハフレイダインより更に強力なコズミックフレアも習得可能。
双葉 (ナビ)
なんか祐介とイイカンジになっているようにも見える双葉さん。妬けちゃうわぁ。
普段の戦闘では相変わらずサポートオンリーですが、それとは別にハッキングバトル(ハッキングしている双葉を守る戦闘)の要素が加わって存在感が増しました。
春 (ノワール)
本編では登場時期の遅さ故にあまり出番がなかった美少女怪盗ですが、本作では最初からガッツリ出番があります。
良かったね美少女怪盗。
笑顔で毒吐く系のキャラにクラスチェンジ。
バトルでは斧が獲物の重量級パワーファイターなので人を選ぶ使い勝手だったりもします。
新キャラについては若干ネタバレ含むので折り畳みで
ソフィア
新キャラその1で、「人の良き友人になれ」という命令しか覚えていない超高性能AI。
自分の出自の記憶が抜け落ちているが、親切にしてくれた怪盗団に協力する事に。
「(私の)ソースコード見るか?」は名言。見てみたい。
高HP、回復系スキル充実、強敵の弱点を突きやすいコウハ系(祝福)、Wブースターも搭載という優遇キャラです。モルガナ…
善吉
新キャラその2で、公安所属の警察官のイケオジ。
再発した謎の改心事件を捜査しており容疑者として怪盗団と接触するも、怪盗団と行動を共にする中で改心事件とは無関係だと心で理解して怪盗団に協力するように。
最終的にランダマイザとヒートライザを覚えるので、とりあえずパーティINしておけばジョーカーペルソナのスキル枠が節約出来る便利屋さん。
ここが凄いぞ P5S
- 怪盗団の活躍が存分に摂取出来る王道の後日談
- 本編バトル要素を忠実に再現したアクション性
- アイテムやスキル選択時には時間が止まるため、アクション苦手な人も安心
- 原曲アレンジBGMが多くてしかもカッコイイ
- 新キャラが2人とも大変良キャラ
- 2周目レベル引継ぎ & 超高難易度モード解放で新鮮な気持ちで周回可能
怪盗団の活躍が存分に摂取出来る王道の後日談
まずどういう人間がこのゲームをプレイするのか、このゲームに求める事は何かと考えると、「本編をプレイして怪盗団メンバーを好きになったファンが怪盗団のワチャワチャや活躍をもっともっと見たい」が一番のモチベーションだと思います。
P5Sはこの需要にガッツリ応えてくれます。
北は札幌から南は沖縄まで、キャンピングカーで全国主要都市を周りながら観光してご当地グルメを食べて海ではしゃいで花火リベンジを決める姿を見る事が出来ます。
良きよ、良き。
各都市のモデリングも「龍が如く」ほどではないですがそこそこ再現されています。
たまたま現実で実際に行った事のある都市ばかり出て来たので結構感動しました。おぉーってなる。
2周目レベル引継ぎ & 超高難易度モードで新鮮な気持ちで周回可能
本編の大きな不満に「周回プレイしたいけどかったるい」というものがありました。
本編2周目はただの効率的なリプレイでしかなかったですからね。
P5Sではレベルや所持ペルソナを全て引き継ぐ「強くてNEW GAME」状態で超高難易度モード(RISKY)をプレイ出来ます。
レベル90台でもオープニングの渋谷デモ戦闘から油断すると死ねます。
RISKYモードがゲームとして優れているかはさておき、RISKYモードならではの対策を打ったりして新たな気持ちで周回プレイに臨めるのはとても良いと思いました。
新キャラが2人とも良キャラ
ラスボスに関わるネタバレ含むので折り畳み
自分の出自も覚えていないが「人の良き友人となれ」という命令だけ覚えている超高性能AIのソフィア。
オッサン故に現実に圧せられ理想も希望も見失ってしまった公安の善吉。
この2人が共に良い味を出しています。
AIであるソフィアが怪盗団との旅を通して「自分の意思で生きる心」を理解してペルソナに目覚めるシーンはちょっと鳥肌立ちました。
いやぁいいっすよ、あのシーン。
変わる事が出来る力、それが心じゃよッ!
「なんも考えたくない悩みたくない平穏でいたい選びたくない答えだけ教えてほしい」という大衆のネガイに応えて神になりかわろうとする後輩AIとのラストバトルも対比が効いていて良いです。
考える事を放棄した大衆よりもよっぽど人間らしい心を持ったソフィア、ラスボスと同じAIでありながら人の上に立つのではなく人の横で歩もうとするソフィア。
ザックリ言うと本編ペルソナ5とラストのノリというかラスボスの思惑が被ってはいます。
しかしここでオッサンペルソナ使いの善吉がアクセントとして良い仕事をしています。
やっぱりどうしても同じ学生メンバーだけで啖呵を切っても青臭すぎるのですが、現実も理想も酸いも甘いも思い知り、くたびれつつも自分の弱さを受け入れて吹っ切れたイケオジがいると締まるわけです。感情移入も出来る。
ソフィアが生みの親の一ノ瀬に操られて敵対した時、学生メンバーはソフィアの事を攻撃しないけれど善吉だけ攻撃しているのがまた良い。
大人と子供の現実への向き合い方が美しく描かれています。
しかし善吉が薄情者なのかと言ったら決してそんなわけではなく。
オトナなら分かりますわね。
そういうの、素敵やん。
正直ストーリーは本編よりも好みです。
ここが残念 P5S
- 合体が簡略化されすぎていて逆に訳分からん
- ペルソナの数はだいぶ少ない、シヴァいないとかマジかよ
- 何回も同じボスと戦わされる
- ダメージの桁が少ない
- 与ダメージが見にくい
- ボスが操作キャラばっかり狙いすぎ
- 突き詰めるとゲーム性は乏しい
ペルソナの扱い周りに不満は残る
検索合体のみというのがまず不満。
素材ペルソナのレベルを上げないと合体に使えないという仕様も、シリーズであまり聞いた事がなく違和感があります。
でもって作成可能なペルソナの種類もだいぶ少ないです。本編の半分くらい。
まぁ3Dアクションとしてモデリングしなければいけないという制約上、種類が少なくなるのは仕方ないとは思いますが。
それにしてもシヴァがいないのはダメじゃあないですかね。
爽快感はもう少し高められるのでは
通常コンボの与ダメージが低く、序盤は一桁ダメージしか与えられません。終盤でも二桁ダメージがやっと。
そしてボス戦では与ダメージがボスの姿に隠れてしまい見えず、効いているんだか効いていないんだかもイマイチピンと来ず。
総じて爽快感や成長している感が得られにくいです。
あとボスが操作キャラばっかり狙いすぎ。
そりゃあ操作キャラばかり狙って来るなら回避に専念して味方NPCにダメージを稼いでもらうという戦法も取れますが、ずーっとそんなプレイングでは微妙ですわな。
突き詰めるとゲーム性は乏しい
2周目は最高難易度のRISKYでクリアしましたが、結局強ボス相手に効率良くプレイしようとすると弱点属性魔法を叩き込み続けるだけになります。回避とかも不要。ただひたすらにスキルメニューを開いて○ボタン連打。
弱点魔法を何度か入れるとダウンが取れるので、これでハメ殺せるわけです。
というかこれ以外の戦い方だとしんどすぎる。
もちろん強ペルソナに弱点属性魔法を継承させる、ブースター系を積む、補助魔法を入れるといった戦略はありますが、アクションゲームとしては破綻していると言わざるを得ません。
まぁね、「アクションゲーム」ではなく「ペルソナ」だと思えばアリなのかもしれませんが。
動画
オープニングから適当なところまで。
1周目最初のボス戦。戦い方が初々しい。この辺はまだアクションゲームだった…
2周目の最高難易度の適当なボス戦。全ボスがこんな感じでハメ殺せます。
というかこうしないと辛すぎる。
総評
スピンオフ作品や地続きの続編って大抵微妙なクオリティになるものだと思っていました。具体的な作品名は挙げませんけども。
いやしかしこれはなかなかどうして良かったですよ。
もちろん本編とはジャンルが異なるので人を選ぶ作品ではあります。
定価も同じ1万円弱だったら、ボリューム的にもゲーム性としても本編に劣ります。それは残念ながら否めない。
しかしながら「ペルソナ愛」と「怪盗団愛」、そして「チャレンジ精神」は確かに感じられる良作だと思います。
お馴染みのキャラでお馴染みの悪魔とアクションで戦えるとか、それだけでワクワクが止まりません。
総評は「本編ペルソナ5が好きならたとえアクションが苦手でも是非やってみてほしい。本編ペルソナ5未プレイなら本編から。本編ペルソナ5に興味がないならスルー。ペルソナ興味ないけどアクションならやってみたいという人もスルー」です。
分かりやすい。
本作P5Sのトロフィーコンプリートガイドはこちらです。
本編ペルソナ5のレビュー記事はこちらです。