レトロゲーマーがPS4の「いけにえと雪のセツナ」をクリアしてレビュー

たまゆら

とりもどせましたか?ボクたちのRPG─

定期的にRPGをプレイしないと死ぬ病に冒されているたまゆらです。いつもお世話になっております。

前回GTA5をやり込みましたのでそろそろかなぁと思っていましたがやはり発症しました。

これは何とかしないと命に関わる。

という事でお店をブラブラしていたら発見しました、「いけにえと雪のセツナ」というゲームです。

500円也。

こちらを1日半かけてクリアしたので紹介させていただきます。

「往年のRPGを踏襲したプレイ感」「アクティブタイムバトル」「連携技」と、なんともレトロゲーマー心をくすぐるワードが飛び交っております。

こんなの期待するなって言う方が無理ですわね。

そんなにハードル上げて大丈夫ぅ?

目次

いけにえと雪のセツナとは

スクエニが新しく立ち上げた開発チーム「Tokyo RPG Factory」の処女作となります。

後に独立して子会社化したとかなんとか。

このチームのコンセプトは「古き良きJRPGを復活させよう」というもの。

2023年2月現在ではこのTokyo RPG Factoryから「いけにえと雪のセツナ」「LOST SPHEAR」「鬼ノ哭ク邦」の3作が発売されています。

セツナは2016年に発売され、PS4/vita/Switch/Steamでプレイ可能。

コンセプト通り、良い意味で大変古臭いシステムのRPGです。

売上は全ハード含めて20万〜30万本くらいのご様子。

発売前から「クロノトリガーっぽさ」をアピールしていたようですがそこまで売れなかったのですね。

いや、今の時代に新規タイトルのJRPGがここまで売れれば御の字なのか?

ゲームシステム

  • フィールド、街、バトルはほとんどクロノトリガーと同じ
  • キャラクターボイス無し (戦闘時の掛け声のみ)
  • 主人公セリフ無し (会話中の選択肢のみ)
  • 技や魔法の習得方法は独特

ゲームシステムとしてはクロノトリガーと違うところを探した方が早いレベル。

敵の出ないフィールドを歩いて街やダンジョンに入る。

バトルはシンボルエンカウント制で、ATBゲージが溜まった順に行動。

敵や味方の配置によって範囲攻撃に巻き込めたりする技や魔法。ただし自キャラを自由に移動させたりは出来ない。

特定キャラの組み合わせで連携技が使える。

オートセーブ無しで全滅したらタイトル画面へ直行。

後半にならないと開かない封印された謎の宝箱がそこら中に配置されている等々、親の顔より見たゲームシステムです。

見た事のあるフィールド画面
見た事のある連携技
見た事のある魔法
見た事のある封印された宝箱

クロノトリガーと異なるのは下記の2点くらい。

戦闘中にATBとは別にセツナゲージが溜まり、このセツナゲージを消費して攻撃時や被弾時に特殊効果を発動する事が可能です。

技や魔法を使う方法はFF7のマテリアのような感じ。ケアルを使いたければケアルの法石を装備にセットする必要があります。

もう少し細かく挙げようと思えば挙げられるのですが割愛。

また、ゲームシステムとは異なりますが、世界観というかゲームの雰囲気がかなり独特なものとなっています。

  • 最初から最後まで雪景色しか無い
  • 最初から最後までピアノオンリーのBGMしか流れない

重苦しいストーリーに合わせて延々と降り続ける雪。どこまで行っても世界中、雪、雪、雪。

そしてボス戦であろうがファンファーレだろうが悲しい場面だろうが嬉しい場面だろうがピアノオンリーのBGM。

雰囲気とマッチしていると捉えるか盛り上がりに欠けると捉えるかはプレイヤー次第です。

登場人物紹介

主要キャラは7人ほどいますが面倒なので主人公とヒロインだけ。

公式ページでは全員分紹介されているので気になる方はそちらをどうぞ。

エンド(主人公)

正体が謎に包まれた仮面一族の傭兵。

普段は全く喋らないので何を考えているのか分からないが、選択肢になると急に饒舌になるのがちょっと不気味な主人公。

はい/いいえの選択肢ではなくかなり強い言葉を選択させられるので、プレイヤー次第で主張がコロコロ変わる人格破綻者のようなキャラにもなったり。

セツナ

魔物の出現を抑えるために生贄を捧げるという風習が根付く世界で、何の躊躇いもなく生贄として自らの命を差し出す旅に出るユウナ。

誰にでも優しく接し、困っている人はたとえ魔物でも放っておけないという正統派ヒロイン属性。

可愛いですけどお人好しすぎてちょっと病んでそう。

ここが凄いぞ いけにえと雪のセツナ

  • テンポ良くサクサク進む雑魚戦
  • 世界観を掘り下げる図鑑システムの充実

雑魚戦はバックアタックを取って範囲攻撃ブッパすればほとんど一撃で倒せてしまいます。

すんごいサクサクです。が、単調にもなりがち。

シンボルエンカウントの感知範囲もそこまで広くないのでエンカウント自体を避ける事も容易。

反面、一部のボスはネタが分からないと手強いものもおり、攻略のしがいはあります。

こいつとかこいつとか
こちらは雑魚ですけど全滅しました

図鑑システムはキャラクター、モンスター、技、魔法、武器、地理等にそれぞれ世界観に合わせた解説が付くという充実した内容で、好きな人は大好きだと思います。

かなり項目が多く、敵の条件付きDROPなんかも細かくリスト化されているので、埋めないと気が済まない人にとってはストレスになるかも?

ここが残念 いけにえと雪のセツナ

  • 素材の種類が多すぎてどれがレアDROPなのか分かりにくく喜びづらい
  • 世界地図が無いので飛空艇取った後が大変
  • 使い回しにしか見えない街、ダンジョン、モンスター
  • その辺を普通にうろつく超強い雑魚モンスター
  • 主人公が喋らない意味が薄い

モンスターを倒すと素材をDROPし、その素材を使って魔法を使うための法石(マテリア)を作成するのですが、この素材がまーーーーー多い。

一回の雑魚戦でこんな感じでDROPします。

これ全部素材です。

こんなのを見せられてもどれがレアなのか、どれが自分に取って有用なのか、全然ピンと来ません。

FF13でもこんな事思ったなぁ…

ロケーションはどの街も雪の積もった土地に家が立っているだけ。家の配置が違うだけ。

ダンジョンも基本的に「雪山」か「普通の洞窟」か「近未来的な遺跡」を繰り返すだけで、変わり映えのしない風景が続きます。

モンスターも種類自体が少なく色違いでカサ増ししている感が目立ちます。

この辺はストーリーが短く冒険する範囲も狭いから仕方ないのかもしれませんし、人によっては「だがそれがいい」と感じる方もいるかとは思いますが。

突然変異種のような超強い雑魚モンスターがその辺をうろついているのも気になりました。

BGMが変わるので慣れれば気付く事も可能ですが、気付かず戦ってしまうと速攻で全滅させられてタイトル画面→1時間セーブしてなかった…なんて事態にも。

これも「古き良きRPG」と言えばそうかもしれませんけどねぇ。

登場人物紹介の項目でも触れましたが、喋らない主人公なのに選択肢になると主張が激しくなるのはどうなのかと。

しかも選択肢が結構両極端だったり。

それでいて選択肢によってストーリーは変化しません。

だったらもう普段から喋らせておくか選択肢なんて排除してしまった方が良かったのでは。

主人公に感情移入させたいのかドラマを見せたいのかがあやふやだと感じました。

所感

決してつまらないゲームではありません。

ただ単純に面白くないだけです。

いや正確にはプレイしている時は面白かったのだと思うのです。

現にほぼぶっ通しでプレイして1日半でクリアしましたし。

しかしクリアしても何も残らなかったというか。

ひたすら普通。

何が原因なのでしょうか。

FF1とFF10を悪魔合体させて合体事故を起こしたような起伏の少ないストーリーが原因か。

本人も仲間も、生贄を捧げる事に対して躊躇いや葛藤を持たないという死生観なので、大筋は「生贄の旅頑張るぞー」からの「生贄の旅頑張ったぞー」しか無いのですよね。ちょっと不気味。

雪オンリーの景色とピアノオンリーのBGMも好きな人は好きでしょうけど、盛り上がりに欠ける一因にもなってしまっていると感じました。

希薄なストーリーに対して、ではバトルが面白いかというとこちらも普通。

ほとんどの雑魚戦は回転斬りだけしていればいいし、ほとんどのボス戦は回復しながら全力斬りするだけ。

ここでは説明していないキャラ強化システムは他にもあるのですが、それらは全く使わなくてもクリア出来てしまいます。

やり込みたい人だけが意識すればいい要素と捉えれば良心的なのかもしれません。

「適当にプレイしていてもクリア出来るし、システムを深く理解すればあんな事やこんな事も出来るよ」というのは万人受けするゲームには大切なのかもしれません。

複雑なゲームシステムにしたら「おじさんこんな覚える事が多いゲームやってられんよ」と途中で投げ出されてしまうかもしれません。

しかしそれはある意味ゲームを提供するメーカ側の怠慢なのでは、とも思ってしまいます。

「俺たちこんなに面白いシステムのゲーム作ったんだから遊び尽くしてくれよな」という開発者の矜持は無いのかと。

と色々厳しめに書きましたが、昔っぽい雰囲気のRPGをサクッとプレイしたいという需要には応えてくれるゲームです。

残念ながら私にはそこまで刺さりませんでしたが、独特の雰囲気にハマる方も多くいらっしゃる事でしょう。

随分お安く手に入りますし、機会があれば話のネタにどうぞ。

同メーカーの次回作「ロストスフィア」のレビュー記事はこちらです。

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