ドラクエ1のifストーリー
ドラクエとマインクラフトが合体したようなゲーム、「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」をトロコンしたのでレビューです。
息子(否ちんちん)がこのゲームを好きで散々遊んでいたのですが私は手を付けておらず、4年間放置の末やっとプレイ出来ました。
サンドボックスゲーム?クラフトゲーム?っていうらしいです。砂場で自分の世界を作る的な?
なんかこういうゲームって終わりがなさそうで手を出しづらいイメージだったのですがそんな事はなく、しっかりドラクエに落とし込んでいましたね。
ゲーム内でプレイ時間を確認できないのでザックリですが、クリアまで20~30時間、トロコンまで+10時間といったところだと思います。うーんお手軽。
ドラクエビルダーズ1とは
2016年にPS3/PS4/vita/Switchで発売。後年にはSteam(PC)版も。
売上は全機種あわせて国内で70万本弱、全世界で110万本オーバーとの事。まぁまぁスタンダード。
正方形のブロックで1マスずつ構築されたオープンワールドの世界で、冒険したり街を作ったりして遊びます。
自由に世界作りを楽しむゲームというよりは、まずドラクエのストーリーがあって、そのドラクエのストーリーを楽しむ方法がコマンドRPGではなくサンドボックスライクなやつに変わっただけ、というゲームです。
そういう意味ではドラクエファンや往年のRPGファンには取っつきやすく、逆にマインクラフト等のファンにとっては物足りないかもしれません。
ストーリー
ドラクエ1の勇者がかの有名な竜王の問いかけ「わしの味方になれば世界の半分をやろう」に対してYESと答えてしまってから数百年後のアレフガルドが舞台。
元勇者は闇堕ちし、竜王の呪いによって人々は物作りの力を奪われ、魔物に蹂躙され、風は止み、海は荒れ、大地は腐っていく世界に主人公が降り立つところから物語が始まります。
うーんこれはワクテカ。
主人公はこの世界で唯一の物が作れる人=ビルダーとして困っている人々を助け世界を復興させます。
これだけ聞くとまさに王道を征く古のドラクエイズム、何の捻りもない勧善懲悪の安心安全英雄譚といった様相ですが、実際にプレイしてみると含みがあるようなストーリーだったり。
ネタバレ含むストーリー (タップで開きます)
全体を通して人間の業が描かれます。
メルキド地方では食料を生産する能力を失った人々が食料の奪い合い・殺し合いを開始。
メルキドの守護神ゴーレムに、人間こそメルキドに害を成す存在と認識され滅ぼされてしまいます。
リムルダール地方では疫病が流行るも薬を作り出す事が出来ずバタバタと人が死に、そんな中でも人々を助けたいと考えた医者が薬を作って病を治すのではなく死から逃れるための研究を始めてしまい、人々がくさったしたい化する地獄絵図に。
マイラ・ガライヤ地方では竜王軍に対抗するため兵器開発に臨むも人間の限界により挫折。
行き詰って精神が病んでしまった研究者は竜王の「もし味方になれば人智を越えた力を与えよう」という甘言に乗せられてしまい竜王軍へ技術が流出。
更には人智を越えた力の反動で発狂してしまい、見かねた恋人に殺されてしまいます。
奪われた兵器技術によってようがんまじんとひょうがまじんから無敵のがったいまじんフレイザードが生まれ、人々を苦しめる結果に。
そしてラダトーム地方では勇者が竜王の誘いに乗ったその後が描かれます。
世界の半分を貰った勇者は、「セカイノハンブン」という看板の立った小さい建物に数百年間幽閉されていました。
何故勇者は竜王の誘いに乗ったのか。
本人から直接語られるわけではありませんが、勇者として決められた生き方、責務の押し付け、選択肢のない人生を送る中で、初めて自分の意思で決められる問いに興味本位で答えてしまったのではないかと考察しているNPCがいます。
ゲーム内でたびたび勇者の記憶の断片が再生されますが、確かに勇者に重くのしかかる期待と責任を強調しています。
「初めてに近い選択肢に対して興味本位で間違っている方を答える」というのは当時のドラクエ1プレイヤーあるあるとも言え、この勇者の成れの果てはキミが当時ドラクエ1で操作していた勇者かもしれない、そんなメタ的なストーリーとも言えます。
これら人間の業に対して竜王は「やっぱ人間危険だわ、ほっといたら世界滅んじまうわ」と語っています。
竜王は精霊ルビスと共に世界の調和を図るために動いており、世界を長く存続させるのに人間の物作りは危険だと判断して力を奪ったわけです。
これに対して結局主人公ビルダーが物作りの力で強力な武器やら兵器やらを開発して竜王を討ち果たしたのですから、竜王倒してめでたしめでたしハッピーエンドとは言え、世界の調和という視点ではなかなか考えてしまう結末となります。
まぁいつだって争いは正義と正義のぶつかり合い、勝てば官軍負ければ賊軍というやつですね。
ゲームシステム
全4章で構成されており、それぞれの舞台でストーリーが展開します。
ゲーム進行としては非常にシンプルで、フィールド探索や敵ドロップから依頼素材を集めてお使いクリア → 町にモンスターが攻めてくるので撃退、これを繰り返しているとストーリーがどんどん進むというもの。
遊び要素として匠によるこだわり抜いた街を作成する事も可能ですが、私はあまりそこはやり込みませんでした。一度街を作り込んだのにギガンテスに全部ぶっ壊されて泣いちゃったので。
ここが凄いぞ ドラクエビルダーズ1
- おじさんゲーマー感涙の世界観とストーリー
- 次にやるべき事がハッキリしていて迷いづらい
- 広大なフィールドに散りばめられたサブイベント
おじさんゲーマー感涙の世界観とストーリー
ありそうでなかったドラクエ1の完全ifストーリーが描かれます。
それだけでもう おじさんゲーマーとしては プレイしなければ ならかった。
何故勇者は竜王の誘いにYESと答えてしまったのか、という謎に対する回答もエッジが効いているというか当時のプレイヤーと重ねている部分があるというか、よく出来ていると思いました。
というか、あのアレフガルドを自分で歩き回れるというだけで楽しいわけで。アレフガルドって広かったんだなぁ。
次にやるべき事がハッキリしていて迷いづらい
メインはお使いをこなすだけであり、お使いの目的地も地図上に表示されます。
画面をパッと見る限りなんだかややこしそうなゲームだなぁと思いがちですが、親切すぎるほど親切なので普通にストーリーを楽しみながらクリアするだけであれば迷う事はまずありません。
また建物の建築は設計図が用意され、サンドボックス系に不慣れな人でも遊びやすく配慮されています。
さすが、RPGに不慣れで最初に何をしていいか分からず外をウロウロしてザコに殺されてしまうプレイヤーが続出する時代に、鍵や宝箱のチュートリアルのためにプレイヤーをいきなり密室に閉じ込めるというゲームを作り出す人は違います。
反面、難しい謎解きやテクニックを必要とするアクション等は皆無ですが、ドラクエですしそれでよいのでしょう。
広大なフィールドに散りばめられたサブイベント
目的地以外にも行ける場所は多岐に渡ります。
フィールドはただひたすらにだだっ広いだけではなく、メインストーリーとは無関係のちょっとしたサブイベントが散りばめられているのが好印象。FF15さんは見習ってどうぞ
オープンワールドを探索して何かを発見するという喜びがあります。もちろん面倒であればスルーしてメインストーリーを進めるのもまた良し。
ここが残念 ドラクエビルダーズ1
- 画面が薄暗く視界が悪い
- 閉所のカメラワークも悪い
- なんでもかんでも○ボタンなので誤爆しがち
- 攻撃のリーチが短すぎる
- システムセーブが1つしか作れない
画面が薄暗く視界が悪い
荒廃した闇に覆われし世界という設定上仕方ありませんが、それにしても画面が暗いです。
そしてすぐに夜になってしまい夜になるともうほとんど周りが見えません。
更に洞窟等の閉所はカメラワークが稚拙なため、自分がどこにいるのか周囲に何があるのかも把握しづらいほど。
間違って洞窟内に深い穴なんて掘ってしまった日には脱出すら困難になります。で、キメラのつばさを使って天井に頭をぶつけると。
なんでもかんでも○ボタンなので誤爆しがち
「調べる・使う」が○ボタンなので隣接しているオブジェクトがあるとうまく目的のものが使えなかったりします。
せめて対象の切替ボタンがあったら良かったのですけど。
攻撃のリーチが短すぎる
2.5等身のデフォルメキャラがちっこい剣を振り回すアクションなのでリーチがとんでもなく短いです。初代イースよりはマシ程度。
敵にぶつかるとダメージを食らうシステムなので距離感が掴めないうちは、攻撃しようと近づきすぎて被弾/攻撃しても遠くて空振り、というケースが多く窮屈さを感じてしまいます。
攻撃判定のある部位に当たったらダメージ、というシステムの方が良かったのではないでしょうか。ドラゴンの鼻先に触れたらダメージ食らってのけぞるとかお前ロックマンかよ。
システムセーブが1つしか作れない
いわゆる普通のセーブデータは各章5個ずつ作成出来るのですが、いわゆるシステムデータは全章通して1つしかありません。
サブイベントの達成状況等がPSアカウントに紐付いており、最初からゲームを始めても読み込まれて適用されてしまうため、誰かがプレイした後だとまっさらな状況でプレイを始めるのが難しいという事ですね。
まぁPSアカウントを分ければいいだけの話ですし、そもそもトロフィーの取得状況とかもそうじゃねーかと言われればごもっともなのですが。
しかし家族でPS4を使っていてPSアカウント分けている人って結構いるものなのですかね。
動画
オープニングから適当なところまで。
ラスボス戦からエンディングまで。
総評
ドラクエ+マイクラ的なゲームなのかと思ったらおもっくそドラクエ寄りだった本作。
初代ドラクエ1をプレイした事のある人間としてはなかなか興味深いゲームでした。
見た目以上にとっつきやすいですしクリアまで時間もかからないですし、何より登場するキャラクターがアイテムがモンスターがBGMがドラクエというだけでテンションが上がります。
総評は「ドラクエ1を知っている人は見た目で毛嫌いせず遊んでみてほしい快作、ドラクエ1を知らない人は…これをやるよりドラクエ1をやりましょう」です。
FC版ドラクエ1のレビュー記事はこちらです。
本作のトロフィーコンプリートガイドは準備中です。