さあ わが うでのなかで いきたえるがよい!
春の激安RPGレビュー祭 第6弾は、「LOST SPHEAR(ロストスフィア)」です。
512円でした。
同メーカーの前作「いけにえと雪のセツナ」(以下セツナ)は自分的にイマイチだったので本作も期待はしていなかったのですが、いやはや思っていたよりも良かったですよ。
トロコンまでのプレイ時間は41時間でした。
セツナのレビュー記事はこちらです。
ロストスフィアとは
スクエニ子会社のTokyo RPG Factoryから2017年に発売されました。
PS4/Switch/Steam(PC)でプレイ可能です。
「古き良きJRPGを復活させよう」というコンセプトの元、最初にセツナが発売され、本作ロストスフィアはその第2弾。
セツナとはストーリーや世界観は完全に異なっているのですが、クロノトリガー的なシステムがベースになっているのは同じです。
ボイス無し、ムービー無し、サブクエスト無し、オートセーブ無し。
船有り、飛空艇有り、別世界有り、鍵のかかった宝箱有り、財布をスられるイベント有り、迫ってくる壁タイプのボス戦有り、世界征服を目論む黒幕有り。
うーんこれは古のJRPG。
陳腐なセリフ回しも古のJRPG感が高まって良きかな。
ゲームシステム
基本的にはクロノトリガー準拠です。
フィールドエンカウント無し、シンボルエンカウント、戦闘はATB(時間経過で行動順が回ってくる)というもの。
攻撃時に移動できる点がクロノトリガー及びセツナから進化しています。
敵を範囲攻撃で巻き込みやすくなったり、また敵の範囲攻撃から逃れたりする事も可能。
移動先を選ぶ際には時間が止まるので、慌ただしいゲームが苦手系おじさんでも大丈夫です。
特徴的なシステムとしては、「アーティファクト」と呼ばれる建造物をフィールドにおっ勃てられる事です。
攻撃力が上がったり、戦闘終了時にMPが回復したり、敵のHPが見れるようになったり、敵のアイテムドロップが増えたりとその効果は様々。
アーティファクト建設可能な上限数が決まっているので、取捨選択プレイヤーの好みを反映させる事が出来ます。こういうの好き。
特徴的なシステムその2は、一つのスキルに対して好きな追加効果を10個まで永続付与出来る「昇華」というもの。
こちらもスキルの威力アップという単純なものから、クリティカル率アップ、各種属性を付与、各種属性耐性ダウン、状態異常付与、敵の攻撃力ダウン、全体HP回復等々、プレイヤー好みにカスタマイズが出来ます。
バラバラに10種類付けるのではなく1種類を重ねまくる事も可能です。こういうの好き。
ストーリー
物や人が突然真っ白になって消えてしまう「ロスト」が発生するようになった世界が舞台。
主人公はロストを治す力を持った唯一の人間で、世界中を駆けずり回って人々を助けながらロストの発生原因を解明しようと奮闘します。
ネタバレ全開のストーリーあらすじ
ロストの原因は月。
月は地球を管理しており、地球にとって不要だと判断した存在を消して、より良い地球を保とうとしていました。
争いばっかりしてる人間は要らないってさ。どっかで聞いた事あんな。
消される事を恐れた天才科学者クロムが逆に月の力を取り込む事で世界をいったん全てロストさせ、自分が神になろうとしたという、そんな感じのお話です。
主人公が何故ロストを治す能力を有しているのかという点についてももちろん理由が説明されますが、そこら辺はプレイしてのお楽しみという事で。
登場人物紹介
カナタ (主人公)
ロストを治せる全人類の希望。
イイ子ちゃんすぎて感情死んでそうでちょっと怖い。
ルミナ
カナタと同じ町に住む幼馴染の格闘家。
低HP高火力という儚げアタッカー。好き。
ヴァン
出自不明の謎の旅人。
ロストの原因について何か知っているような素振りを見せながらカナタたちに同行。
身体からビットを射出しビームで攻撃するという謎テクノロジーで戦います。
口は悪いが仲間想い、クールなようでアツい男。好き。
オバロ
過去の世界からやってきた魔法使いのおじさん。
何でも知ってる頼れるおじさん枠。
シェラ
魔物を操るとされる逢魔の民の戦乙女。もちろん弓を使います。
このゲームで唯一とも言える貴重なメインヒーラー。
ディアント
成り行きで同行する事になる、心優しい哀しきモンスター。
魔王と呼ばれ恐れられているが、自らを「魔物から人間を護る王だから魔王だ」などと屁理屈をこねる変態。
ガルドラ
ロストから世界を護るため主人公一行に協力する帝国軍騎士団長。
「防御力0になるけど防御力分を攻撃力に加算する」というブッ飛び性能の最終武器を振り回す剛の者。
ここが凄いぞ ロストスフィア
- デモの早送りが可能
- パーティチャットが豊富
- 控えメンバーにもまるまる経験値が入る
- 武器を変えると見た目に反映される
- カスタマイズ性が高く自分好みの育成が可能
- サクサクのザコ戦、手強いボス戦
- 充実のキャラ・アイテム・地域辞典
デモの早送りが可能
全ての操作出来ない時間、例えばエレベータに乗った時、釣りをする時、宝箱を開ける時、ロストを復活させる時などの演出、更には会話までボタンで早送り可能です。
かったるい待ち時間がほとんど無く、更に勢い余ってセリフまで早送りで飛ばしてしまった場合は巻き戻し(バックログ)機能もあります。よく考えられておる。
パーティチャットが豊富
戦闘中以外であればいつでもどこでも仲間の話が聞けるパーティチャットは、状況が変化する度に細かく内容更新され作り込まれています。
キャラへの愛着が湧くのはもちろん、次の目的地についてのアドバイスもくれるので迷う事がなくなり親切。
特に飛空艇入手後どこでも行ける状態になってからは、「○○の北にある××に行くんだったよね」的なプレイヤー目線のコメントが助かります。
カスタマイズ性が高く自分好みの育成が可能
前述の通り、アーティファクト/セットする法石(スキル)/昇華の組み合わせによって性能を大きく変化させることが可能なので、システムが理解出来てくるとかなり幅広く楽しめます。
このスキルは戦闘開始時に使う事が多いから攻撃力低下とか防御力低下の追加効果を盛りまくろうかとか、このスキルは全体範囲攻撃だから即死付与やらマヒ付与やらの追加効果を付けようかとか。
「複雑なシステムはしちめんどくせぇやいてやんでぇ」という江戸っ子もいるかとは思いますが、実際にはクリアするだけならあまり深く考えずに適当にやっていても問題はありません。こういうところも前作セツナと似ていますね。
サクサクのザコ戦、手強いボス戦
ストーリー中のボス戦で何度か全滅しました。
こいつらとかこいつらとか。
ただし難易度の上げ方が雑ではあって、状態異常任せな部分は微妙かとも思いました。
ボスの行動パターンがランダムすぎるため、酷い時は全体睡眠→全体攻撃→全体混乱→全体攻撃を繰り返してきて何も出来ずに全滅したり。
かと思えば再戦したら状態異常を全く使ってこずアッサリ倒せたり。
残HP等の条件によって行動パターンを分けるとか出来なかったもんかなぁと。
またラスボス戦では、まさかのラストエリクサーを投与しての勝利。
たまたまでしょうけど神がかった戦闘になりました。
35年余のゲーム人生、RPGで初めてラストエリクサーを真面目に使ったかもしれません。感動。
ここが残念 ロストスフィア
- キャラが冷静沈着系ばかりで被っている
- 町・ダンジョンの広さに対して移動速度が遅い
- 属性が無駄に多い
- 世界観が謎
- 存在理由もゲーム性も無い釣り
- エンディングがちょっとなぁ…
キャラ被り問題
総勢8名がパーティキャラになりますが、カナタとルミナとヴァンを除いた5人は差はあれど基本的に冷静沈着・クール・目的のためなら犠牲も厭わない・達観・現実主義的なオトナキャラとして描かれています。
カナタとルミナも見方によってはその傾向にあると言えて、なんかもうヴァン以外似たようなキャラばっかだなーという感じ。
セツナのキャラたちも結構そういうところがありましたね。スタッフがそういう性癖なのかしら。
町・ダンジョンの広さに対して移動速度が遅い
移動速度は遅いわルーラやリレミトのような魔法はないわダンジョンのボス倒した後に歩いて帰る必要があるわ、ここは不親切です。
更に終盤になると王宮の謁見の間に何度も足を運ぶ必要があるのですが、正門くぐってからの謁見の間ですからね、そりゃあもう遠い遠い。
ピンポイントでルーラさせろとは言いませんけど、ダッシュくらいあっても良かったのではないでしょうか。
世界観が謎
物や人がロストしていくというメインの世界観については詳しく追っかけられて納得いく説明もされるのですが、ヴァンのビットは何?とか、モンスターであるディアントがなんでロボットに乗っているの?とか、微妙によく分からない設定もあります。
辞典で語られる部分はありますけど、劇中では説明が無く仲間たちが突っ込む描写もありません。気にならないのかな?
あと「記憶」を素材にしてスキルを売っているスキル屋さん、それ「記憶」を物体(?)として取り扱える主人公一行しか客がいないと思うのですけどどうやって生計を立てているのでしょうか。
エンディングが個人的に消化不良
ネタバレなので折り畳みで
エンディングは2パターンあって、自身を犠牲にしてロストの原因を止めようとするヒロインのルミナを助けるかどうか、で分岐します。
ルミナを助けるとロスト現象は止まらずこれで良かったのだろうかエンド、ルミナを見捨てるとそのままルミナは帰ってこない代わりにロスト現象が止まって世界平和エンド。
どちらにしてもモヤッとします。
「古き良きJRPG」なら大団円ハッピーエンドで良いじゃあないですか。
動画
オープニングから適当なところまで。
こちらはラストバトル → エンディング2種類。
総評
細々(こまごま)と独自システムを搭載していますが、正直適当にやっていてもクリア出来ます。
なんか最近そういうゲーム多いですよね。
色々やれる事は多いけど、それらを理解して活用しなくても問題なくクリア出来るゲーム。
私が触っているのがたまたまそういうゲームばかりというだけ?
プレイ感やゲームとしてのリッチ感はセツナの正統バージョンアップ版と言え、加えてストーリーはロストスフィアの方が断然好みでした。なにもかもがベタで。
途中までは正直ダルかったですけど、中盤くらいから怒涛の伏線回収でグッと面白くなります。
セツナはその名の通り「切なさ」がコンセプトになっており、古のJRPGストーリーとは言い難かったので。もちろん世界観が尖っている分セツナの方が好きと言う方もいるでしょうけど。
手放しに全人類にオススメ出来るゲームかと言ったらそんな事はなく、ひたすらに無難な作品。
総評は「世代の紳士淑女は期待値を下げて触ってみると案外楽しめるかも」です。
私は楽しめました。
同メーカーの前作、「いけにえと雪のセツナ」レビュー記事はこちらです。
ロストスフィアのトロフィーコンプリートガイドはこちらです。