レトロゲーマーが「ボイドテラリウム」をトロコンしてレビュー

たまゆら

たった一人生き残った少女を守れ

2022年3月のPS4フリープレイでボイドテラリウムというゲームが配信されまして。

ダウンロードだけはしていたのですがようやくプレイしてクリア&トロコンしたのでレビューです。

フリープレイって何よ?

PS4のフリープレイとは、毎月数百円払ってPS Plusというサービスに加入すれば毎月更新されるいくつかのゲームを無料で遊んでいいよというシステム。

過去にはFF7リメイクなんかもラインナップされていましたが、その時はまだ課金していなかったのですよね。

一度ダウンロードしたゲームは課金中であればいつでもプレイ可能。

便利な世の中になったものよのうってムーンペタのおじいちゃんも言っていました。

本ゲームはストーリー重視のゲームのため、この記事ではネタバレは避けます。

ネタバレ含めた感想記事はまた別途。

目次

ボイドテラリウムってどんなゲーム?

正式名称は、【void tRrLM(); //ボイドテラリウム】

2020年1月23日に日本一ソフトウェアさんから発売されたPS4/Switch用ゲームです。

なんじゃそりゃというタイトルですが、C言語が分かる方ならピンと来るでしょう。(いくらコメントだからってカナ使うのは個人的にはどうかと思いますがどうでもいいですね)

内容は「ローグライク + たまごっち + 外観クリエイト」の三本柱。

…何を言っているのか分からねーと思いますが、ありのまま今起こった事を話しています。

ローグライク要素

ローグライクとは、トルネコやらシレンやらチョコボやらポケモンやらに代表されるいわゆる不思議のダンジョン系です。

これらの元祖が「ローグ」という名前のゲームなので、「ローグに似たゲーム」という意味でローグライクとジャンル分けされます。

ローグライクがどういうゲームなのかを未プレイの方に説明するのはなかなか骨が折れるのですが、下記のような特徴を持っています。

ローグライクって何?
  • マス目で区切られたダンジョン探索ゲーム
  • ランダムでダンジョンMAP生成
  • ターン制行動
  • スタミナ制限有り
  • 死んだらアイテムロスト & レベル1
  • オートセーブ
こういうやつ

ダメだ、既プレイの方には通じるでしょうけど未プレイの方に通じる気がしません。

まぁいっか。皆さんやった事ありますよね。

「ローグライク?不思議のダンジョン?難しいんでしょう?ドMのゲームオタクがやるゲームでしょう?」いえいえそんな事はありません。

本作ボイドテラリウムはかなり難易度は抑えられていて、1,000回楽しむ硬派なゲームというよりは雰囲気やストーリーを1回楽しんで終われる普通のRPG的に仕上がっています。

時代は変わるものですね。

本作は初代トルネコで27階から幸せの箱を取ってくるより10倍簡単です。

またボイドテラリウム独自の要素として、レベルアップ毎にスキルガチャが引けます。

HPアップや攻撃力アップといった基本項目から、範囲攻撃出来るようになったり荷物上限アップしたり部屋全体を攻撃する必殺技を身に付けたり。

序盤にレアなスキルが引けるとウオオオオーっとなります。

これ楽しい。

たまごっち要素

ボイドテラリウムでは上記ローグライクの特徴にたまごっち要素が加わっています。

25年前に見た

ダンジョンの外で待つ少女がお腹を空かせたらご飯を食べさせて、うんちをしたら片付けて、病気になったら治療して。

通常のローグライクとは違った制限がかかる工夫がされています。

外観クリエイト要素

最後に、住居環境を自分でクリエイトする事が出来ます。

私自身あまり馴染みが無いのですが、箱庭系って言うのですかね?違うか?

オブジェクト作って並べるやつ。

センスねぇな

こういうのってセンス問われますよね。

攻略する上でやらなくてもいい要素なのですけど、こういうのが好きな人はプラス評価だと思います。

オサレに作れたら気持ち良さそう。

世界観とストーリー

文明が崩壊し、有毒な菌類に汚染された世界。

どこまでも広がる廃虚の片隅。
彷徨うロボットは衰弱した少女、トリコを見つけます。

今にも死にそうな少女は菌類の苗床とされ、
からだのあちこちからきのこが生えています。

──ロボットの心に、少女を助けたいという気持ちが芽生えました。

しかし汚染された世界はトリコが生きていける環境ではありません。
さあ、隔離された「テラリウム」で、少女が生存できる環境を作っていきましょう。

100年以上前に人類が死に絶えた終末世界が舞台。

何故か一人生き残っていた少女と、その少女を助けるべく奮闘するロボット(AI)たちのお話です。

登場人物

登場人物はたったの4人。

と言っても、うち3つは人間ではありませんが。

ロボットさん

本作の主人公。

ふとしたきっかけで自我に目覚めたお世話ロボット。

通称ロボットさん。

誰彼構わず撫で回し相手をその気にさせてしまう天然ジゴロ。

あざとかわいい。

トリコ

本作のヒロイン。

この世界で唯一生存しているヒト種。

目からキノコが生えちゃってる系幼女。

かわいい

風邪を引いたりゾンビ化したり液状化したり羽が生えたり虫にたかられたり大変。

生まれてから他のヒトを見た事が無いため会話こそ出来ないものの、本能から来る仕草や表情がかわいい。

ファクトリーAI

頼れる相棒ポジション。

と思いきや、100年前に人類を滅亡させた張本人という事がゲーム開始5分で発覚。

勢いあまって人類を滅ぼしちゃう系AI。

罪滅ぼしのため、主人公ロボットと共にトリコの世話をします。

ドヤ顔で良い事を言いがちだが回りくどく会話のテンポが悪げ。若干コミュ障?

あざとかわいい。

実は女性人格という衝撃の事実が後に発覚。

クラウドAI

お世話ロボットたちの管理職であり主人公ロボットの上司。

トリコを見つけたクラウドAIさんの反応

人類から様々な願いを託されるも叶わずに滅亡させてしまった事から、トリコを使ってどうにか人類復興する道を模索していきます。

ボイドテラリウムの良いところ

  • 幻想的かつ退廃的な世界観の表現
  • 圧倒的なBGMのクオリティ
  • 難易度が低く万人向け

とにかく世界観に惹き込まれます。

人間が一人しかいない世界。

創作において割とありきたりな設定と言えるのかもしれませんが、高いレベルのビジュアルとBGMで表現がなされています。

特にBGMは素晴らしいの一言で、幻想的かつ退廃的な終末世界をメカニカルなテクノやトランスで見事に演出。

個人的にはボイスが無いのがまた風情があって好き。

難易度が低い事は評価の分かれる点だとは思いますが、ストーリーや世界観を楽しむゲームとしては成功しているかと。

特に難易度を下げている要因が、デスペナルティが無い点と基本能力を強化出来る点です。

通常ローグライクでは死亡すると所持アイテムが全て消えてしまいそのプレイが全て無に帰すところですが、本作では死亡しても全ての所持アイテムを持ち帰りオブジェクトの素材に変換してくれます。

そして貯めた素材を消費してオブジェクトを作成すると、LV1時点のステータスが強化されます。

HP、攻撃力、防御力、荷物上限等がアップしますので、プレイすればするほど同じダンジョンでも格段にクリアしやすくなります。

ボイドテラリウムの残念なところ

  • ストーリー重視だが主人公に感情移入はしにくい
  • 画面がゴチャゴチャでアイテムや罠が分かりにくい
  • ボリューム不足、簡単すぎる
  • アプリケーションエラーが多い

主人公はセリフも無ければ感情表現もしないロボットです。

後半のイベントでは、プレイヤーが誰も望まないであろう暴挙に出る場面も。(おそらくハッキングされていたのでしょうけど)

操作キャラが何を考えてるんだか分からんというのは思ったよりもストレスでした。

第三者目線であれば問題無いのですけどね。

ダンジョン内は世界観に合わせて見事な描き込みがされているのですが、そのせいでアイテムや罠がまぁ見難いです。

やや立体的なので斜め方向も分かりづらく、慣れないうちは遠距離攻撃を外す事もしばしば。

プレイ中はほとんど全体マップ(透けてるやつ)しか見ていませんでした。

またボリューム不足感は否めません。

やり込み要素として無限に続くダンジョンは存在するものの、本編自体は不慣れな人でも30時間もあれば終わるでしょう。

この手のゲームに割りかし慣れている私が本編クリア15時間、そこからプラス5時間でトロコンまで終わってしまいました。

無限に続くダンジョンは4時間かけて200階近くまで潜ったのですが、レベル99でカンストしていたにも関わらず雑魚のワンパンで死亡して終了。もういいかなぁ。

最後に、アプリケーションエラーが割と発生します。

エンディングまでで5回くらいは遭遇したかと。

毎階層でオートセーブされるのでそこまで致命的な問題ではありませんが、いちいちタイトルに戻らされるのは興が削がれます。

総評

主人公もヒロインも一言も発しない異質なゲーム。

だからこそお互いの愛情表現にグッと来ます。

特にエンディングは……胸に迫るものがありますね。

実はエンディングが2種類あるのですが、どちらも素晴らしいものです。

トゥルーエンドとかグッドエンドとかバッドエンドとかそういうレベルでは括れません。

ああ早く語りたい。

ローグライクゲームとしては良しとも悪しとも評価は出来ません。

簡単すぎ。

ローグライク特有の、難しいダンジョンを頑張って攻略して得られるようなカタルシスもありません。

しかしこのゲームはそれで良いのでしょう。

たまたまローグライクという形式を取っている物語だと思えば感動は出来ます。

一番の問題はコスパ(ボリュームの少なさ)です。

これが定価の7,000円だと正直手放しでオススメは出来ませんが、2022年5月現在、中古価格は3,000円前後のようです。

3,000円ならアリ寄りのアリです。

ゲーミングを重視する硬派なガチゲーマーには3,000円でもちょっと厳しいですが、私のような雑食ゲーマーからローグライクなんてやった事ないよーというライトゲーマーまで幅広くオススメ出来ます。

皆様はこのゲームをプレイしてどんな感想を抱くのか、興味が湧くところですので機会があれば是非に。

個人的にはほとんど寝ずに2日間ぶっ通しでプレイしてクリアしてしまうくらいには良いゲームでした。

素晴らしい出会いに感謝。

ビジュアルとBGMにここまで惹かれたゲームってそんなにないです。

後書き

最近、「○○が出来ない人は不幸だ」「○○が出来ずに幸せになれないなら生まれてくるべきではない」、そんな主張をネット上で見掛けました。

「障がい者は不幸だ」とか「子供を大学に通わせられないなら子供を作るべきではない」とかそういう話も昔からたまに見掛けますね。

そういう主張をする方たちは一体全体何と戦っているのか。何が目的なのか。

幸せかどうかを決められるのは本人だけです。

他人の人生が幸か不幸かを評価して回る神モドキのなんと愚昧で滑稽な事か。

たった一人のヒトとなり、荒廃した世界で虫を食べて笑顔になる少女を見て、そんな事を改めて思いました。

そういえばボイドテラリウム2が2022年6月30日に出るらしいですよ。

続編が出るという事はそこそこ人気あるという事ですかね。

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