すぎやまこういち氏のご冥福をお祈り申し上げます

言葉を失うというのはまさしくこういう事を言うのでしょう。

ドラゴンクエストシリーズ等の作曲を手掛けるすぎやまこういち氏が、敗血症性ショックのため2021年9月30日に逝去されました。

90歳でした。

氏の多大なる功績に敬意と感謝を表するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

目次

その経歴

経歴を初めて知ったのですが、かなりぶっ飛んでいます。

  • 幼少期からゲームとクラシック音楽に慣れ親しみ鼻歌で作曲をし、
  • 中学校で青島幸男と出会い、
  • 高校で学内オーケストラを編成し指揮と編曲を務め、
  • 音大に進学しようとしたけどピアノが弾けなかったという理由で東大に進学し、
  • 卒業後、文化放送 → フジテレビに入社し、
  • ミュージシャンへの楽曲提供を開始し、
  • 作曲家としてのギャラがフジテレビの給料より高くなったので退社

そしてエニックスの将棋ゲームの敵CPUの動きに疑問を持ったためアンケートハガキを熱心に書くも投函が面倒になったので放置。妻がそれを見つけて投函したところエニックスの担当者から作曲依頼があり、そこからエニックスとの繋がりが出来たそうです。なんやねんそれ。

初代ドラゴンクエストを手掛けたのが54歳の時。

54歳でそれまでオーケストラやらに携わっていたのにゲームのピコピコ3音を手掛けるとか物凄い探究心というか…

その後、2016年には『世界最高齢でゲーム音楽を作曲した作曲家』としてギネス世界記録に認定。

2018年に、社会の様々な分野で顕著な功績を挙げた者を表彰する旭日章を受章。

2020年に、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者に与えられる文化功労者に選定。

2021年にはオリンピック開会式の入場曲にドラクエの「序曲」が使用されました。

ドラクエのメインテーマである「序曲」は本人曰く「54年と5分で出来た曲」だそうで、54年間の積み重ねがあったお陰で5分で出来たという旨の発言をしています。それにしたって5分て。凄すぎ。

愛煙家としても有名で「喫煙文化研究会」の代表を務めるという顔も。

愛煙家通信 Web版 – 喫煙文化研究会 (aienka.jp)

上記サイトですぎやま氏のコラムが読めます。面白かった。

その功績

数々のゲーム、アニメ、映画、テレビ、CM、ミュージシャンへの楽曲提供を行ってきました。

しかし何と言ってもドラゴンクエスト無くしてすぎやまこういち氏は語れません。

シリーズ累計8,200万本(!!)の売り上げを誇るドラクエシリーズ。

1本売れて10円という契約だったら8億円、1本売れて100円という契約だったら80億円ですよ(ゲス)

500曲以上ものドラクエ曲を全て一人で作曲されています。

名曲の数々は、多くの日本人の魂に刻み込まれていると言っても過言ではありません。

35年前のファミコンブーム、ドラクエブーム、そして一家に一台しかテレビが無かった当時の事情を考えると「序曲」を聴いた事が無い日本人ってそう多くは無いと思います。

そういえば一昨年だかの子供の運動会にも使われていましたよ。

ちなみに日本のシングル売上ランキングは「およげ!たいやきくん」の450万枚ですが、今の若い人は知らないと思います。

下手したら今生きている日本人という括りでは、「序曲」が「君が代」の次に有名な曲なのでは…?

今までありがとうございました

思い返せば父がドラクエが好きで、まだ幼児だった私は抱かれながら父のドラクエ1のプレイを見ていました。

ドラクエ3は父と一緒に夜明けからゲーム屋に並び、ドラクエ4で遂に父より先にゲームクリアし、ドラクエ5ではテレビの取り合いのために早起き勝負……そして実家を離れた今も初めて電話がかかってきたかと思えば「ドラクエ11Sの2Dモードってボウガンのやつ無いの?」と聞いてきたり。(ああいうミニゲームは苦手らしいです)

あ、私の父の話はどうでもいいですね。

楽曲については今でも日常的にサントラ流しながら生活していますし、もうそこにあるのが当たり前すぎて、なんというか言葉がうまく出てきません。

全ての曲が美しく、優しく、儚く、力強く、切なくも荘厳で、感動を覚え、勇気が湧いてきて、冒険心を掻き立てられ、まさにその場面にはその曲しかあり得ないというほどマッチしていて……ほら上手く表現出来ない。

「白米って美味しいよね」とかそういうレベル。

評価のしようがありません。

好きな曲なんて挙げられるはずもない。

どの曲も思い入れが強すぎます。

フィールド曲、町の曲、城の曲、ダンジョンの曲、戦闘曲、楽しい感じの曲、悲しい感じの曲、ボス戦の曲、エンディング曲、全作のこれらの曲を瞬時に思い起こせますしそのゲーム画面と共にプレイしていた環境までありありと目に浮かんできます。

あえて、あえて挙げるのであれば、ドラクエ5のパパスの手紙を読む時の曲(哀愁物語)が特に思い入れが強いです。

序盤の絶望と悲しみを感じさせる曲調から、希望と立ち向かうべき未来に思いを馳せる明るい曲調へと変化するのは芸術と言わざるを得ません。

ああでももちろんラダトーム城とかLove Song探してとかラーミアとかゾーマとかジプシーダンスとか6の町とか、ああもうだから全部好き。

現在制作中のドラクエ12の曲は出来ていると発表がありました。

それはなによりですが、でもでも13は?14は?15はどうなるの?

もうすぎやまこういち氏の曲が聴けないなんてイマイチ実感が湧きませんが、受け入れていくしかありませんね。

改めてありがとうございました。

今までも、そしてこれからも、確実に、間違いなく、私の人生になくてはならない人です。

心からご冥福をお祈りいたします。

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